文献詳細
文献概要
特集 義足―新しい技術と適応
足の機能と足部の選択
著者: 江原義弘1
所属機関: 1神奈川県総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.240 - P.246
文献購入ページに移動 1.健常足の機能
ヒトの歩行は後ろになる足(以後,後足)を支点とする前方転倒と,前になる足(以後,前足)を支点とする起き直りとの繰り返しである.この観点からみると,足部の機能はしっかりと地面にイカリを降ろして前方転倒と起き直りの回転軸を供給することである.このことを頭に入れながらまず健常者の足部の機能をみていこう.
前足の接床に際して(図1),靴の踵や踵の軟部組織で接床の衝撃が吸収される.踵から接床することで足部は下方に回転でき,足関節は前下方に移動できる.足関節は無理やり底屈させられ,この際の背屈筋群の遠心性収縮で衝撃が吸収される.もし踵接地でなくフットフラットで接床すれば,足部は接床の瞬間に床に固定されてしまい,逃げ場が無くなって大きな衝撃が生じるであろう.
踵から接床することで床反力が膝の後方を通るようになり膝の屈曲を誘発する.膝伸展筋群は遠心性収縮でこれに対抗し,ここでもまた衝撃の吸収が行われる.このように接床時の衝撃吸収は3ステップに模式化される.まず早い時期の機械的な衝撃は踵で吸収され,次の時期の体重を超えない衝撃が足関節で吸収され,最後の時期の体重を支える大きな衝撃が膝関節で吸収される.吸収作用の割合は足関節1に対して膝関節が3から4程度である.以上の時期が前足による起き直り支持の時期である.
ヒトの歩行は後ろになる足(以後,後足)を支点とする前方転倒と,前になる足(以後,前足)を支点とする起き直りとの繰り返しである.この観点からみると,足部の機能はしっかりと地面にイカリを降ろして前方転倒と起き直りの回転軸を供給することである.このことを頭に入れながらまず健常者の足部の機能をみていこう.
前足の接床に際して(図1),靴の踵や踵の軟部組織で接床の衝撃が吸収される.踵から接床することで足部は下方に回転でき,足関節は前下方に移動できる.足関節は無理やり底屈させられ,この際の背屈筋群の遠心性収縮で衝撃が吸収される.もし踵接地でなくフットフラットで接床すれば,足部は接床の瞬間に床に固定されてしまい,逃げ場が無くなって大きな衝撃が生じるであろう.
踵から接床することで床反力が膝の後方を通るようになり膝の屈曲を誘発する.膝伸展筋群は遠心性収縮でこれに対抗し,ここでもまた衝撃の吸収が行われる.このように接床時の衝撃吸収は3ステップに模式化される.まず早い時期の機械的な衝撃は踵で吸収され,次の時期の体重を超えない衝撃が足関節で吸収され,最後の時期の体重を支える大きな衝撃が膝関節で吸収される.吸収作用の割合は足関節1に対して膝関節が3から4程度である.以上の時期が前足による起き直り支持の時期である.
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