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特集 精神疾患をもつ患者の理学療法
精神疾患患者の体力増進への取り組み
著者: 三浦久実1 武田秀和2
所属機関: 1武蔵野中央病院リハビリテーション科 2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.402 - P.407
文献購入ページに移動精神疾患患者における入院の長期化は,高齢化や身体合併症,あるいは身体運動能力の低下を招き,それが治療上の問題となったり,社会復帰を遅らせる原因の1つになっている1).1993年に実施された日本精神病院協会の基礎調査によれば,入院患者の半数が5年以上,3分の1が10年を超える長期在院者であり,65歳以上の入院患者が28%を超えるに至っている2).
このような状況から,精神疾患患者の身体運動能力の低下などに対して,予防と向上を目的としたスポーツを含む運動療法が見直されつつある.しかし,現在精神疾患患者に対する理学療法は,一般的には脊髄損傷や骨折などにより身体に何らかの機能障害がある場合に施行され,制度上,機能障害がない者に対しては実施されていない.
精神疾患に代表される精神分裂病患者(以下,分裂病患者)の慢性期の症状として,無為自閉や活動性の低下などの陰性症状が挙げられる.長期入院の分裂病患者にはこれらの精神症状を主体とする者が多く,身体運動能力の低下が避けられない事実であることは容易に推測される.
当院では,重篤な身体機能障害を有しない精神疾患患者に対しても,身体運動能力の低下の予防と向上を目的に運動療法を実施している.本稿は,今日までの経過から当院の取り組みを紹介し,運動療法における要点を述べる.
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