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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル35巻10号

2001年10月発行

文献概要

特集 リスクマネジメント

当院理学療法部門におけるリスクマネジメント(1)

著者: 渡辺京子1

所属機関: 1亀田総合病院リハビリテーション室

ページ範囲:P.706 - P.710

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 院内リスク委員会発足

 1999年に発生した大学病院患者取り違え事故を契機に医療事故に対する管理システムの問題が社会的に注目され,当院でも様々な取り組みが実践されてきた.リハビリテーション(以下リハ)医療においてはハイレベルなリスクは少ないものの,高齢患者の増加による医療モデルの変化,病院の大型化による機能分化,多職種間の業務分担や協業の拡大による情報伝達・確認システムの複雑化,患者の知る権利拡大の機運など,我々を取り巻く医療環境は厳しくなっている.また,脳血管障害など急性発症に対する早期理学療法の増加や,歩行練習中の転倒や状態の急変など事故発生時の対応や予防などリスクマネジメントの重要性はますます高まってきている.

 リスクマネジメントは事故・紛争・訴訟の防止活動だけでなく,「起きてはならないことを起こさない」ために取り組むシステムとして存在しなければならない.リスクの評価・分析・対応というプロセスを通してまず医療の質を確保し,病院組織を損失から守るためには,①情報収集とその共有により些細なミス(エラー)を見逃さずにマイナス情報を収集ないし吸い上げるツールを持つこと,②収集した情報をもとに過去に生じた事故事例を検討,そこから予防策を学んで同じ過ちを繰り返さないこと(再発防止の徹底),③誰が事故を起こしたかではなく,何が事故を招いたかを労務管理,人事管理,薬品管理など病院全体のシステム管理のあり方を検討し改善を図ること,④事故事例をもとに事例検討会等を開催して職員教育を徹底することなどが大切である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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