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講座 「まち」をつくる側からの提言・5
車いす利用者のための経路選択支援システムの開発
著者: 南正昭1 田村洋一1
所属機関: 1山口大学工学部社会建設工学科
ページ範囲:P.814 - P.818
文献購入ページに移動交通バリアフリー法の施行から既に1年が経過しようとしている.しかし各自治体における取り組みは,必ずしも十分な進展をみているとはいえない.なぜ,その街で毎日の生活を送っている身体障害者や高齢者の方々の存在を前提とした街づくりをすることが,これほどまでに困難を極め,決して十分とはいえない法律を制定するのに長い年月を要するのであろうか.
1つには,費用負担の問題が立ちはだかっている.例えば,同法において1つの柱として掲げられた駅前空間の整備について,障害物を除去し面的なバリアフリー化を実現するための施設整備は,駅ならびに駅前道路の施設管理者に多大な費用負担を求めることになる.街路等の公共施設の整備は通常,各自治体の予算制約の下で公共事業として実施される.その予算配分は補助の有無や他の事業とのバランスを考慮し,政策的に決定される.政策が市民の民意の反映であるとするならば,その街のバリアフリー化の水準は,後々にはその街の市民の身体障害者や高齢者への配慮の深さを直接的に表現することになるだろう.
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