icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル35巻5号

2001年05月発行

雑誌目次

特集 EBP in Physical Therapy

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.309 - P.309

 “Evidence-based Medicine(BBM)”とは,最善の外的エビデンスを個々の患者に適用することであり,臨床問題解決における情報処理の一手法と位置づけられる.邦訳の「科学的根拠に基づく医療」は,ともすると画一的で融通の利かない治療を想像させるかも知れない.

 本特集では,EBMの正しい理解を促し,その思考過程を理学療法に則した具体的な形で検証するなかで,practiceのもつ本質を浮き彫りにして“EBP in Physical Therapy”の姿と向かうべき方向を明確にすることを試みた.

[エディトリアル]EBMと理学療法

著者: 内山靖

ページ範囲:P.311 - P.313

 医療の目標が人類の幸福に寄与することは不変であるが,その時々の中心的課題は社会環境に対応しながら変化している.我が国では感染症対策を中心とした原因に対する治癒を目指した時代から,生活習慣病や慢性難治性疾患への環境対策や疾病・障害の予防などに対する地域・在宅・生活を基盤とした医療の枠組みを拡げた取り組みが重視されるようになってきている.このようななかで,理学療法も対象と適応を拡大する一方で,介入の効果を客観的に提示することが求められている.

 先進諸国の医療を振り返ると,第二次世界大戦後の福祉国家を目指した医療保険の拡充と医療技術の革新および医療供給体制の拡大を経て,1970年代に入ると高騰した医療費を抑制するためのマネージド・ケアの時代が米国を中心に到来した.更に近年では,説明責任とアウトカム・マネージメントが強調されるようになっている1)

理学療法に関するEBMの実践―実際の患者を例に

著者: 名郷直樹

ページ範囲:P.314 - P.320

はじめに

 Evidence-based Medicine1)を直訳すると科学的根拠に基づいた医療となる.しかしそれは必ずしもEvidence-based Medicineの本質を表してはいない.これから述べるように,むしろ根拠に基づかないこともある,更に基づかないほうがよいこともある,というのがEBMの実践である.そのためかどうか分からないが,最近では適切な日本語訳を作ろうという方向へはいかず,EBMと略されることが多くなってきた,ただEBMと略されたものが意味する範囲は広く,現実には,Medicineのみならず,Evidence-based Policy making,Evidence-based Nursing,Evidence-based Pharmaceutical Care,Evidence-based Public Healthなど全ての概念を含んだものとして略されている場合が多い.それに対し,狭い意味でのEvidence-based Medicineとは,まさに一患者を目の前にした患者に始まり患者に終わるものである.そのため私自身は,誤解を避けるために前者の広義のEBMをEvidence-based Practice,すなわちEBPと略し,後者の狭義のEBMをEBMと略すべきだと考えている.しかしEBMという言葉があまりに普及したため,本稿では必ずしもこのような使い分けをせず,いずれの場合もEBMと略すことにする.このあたりの混乱を意識しつつEBMという用語を理解していただきたい.これらの用語の関係を表1に示す.

 EBMと略されるのをみると医師の問でEBMはすでに常識となっているように思われるかもしれない.しかし現実はEBMを正規のカリキュラムとして採用している医科大学は少なく,カリキュラムとしてあっても教える人がなかなかいないというのが現状である.ましてや薬剤師,看護婦,理学療法士などではまだまだこれからである.そんな状況のなか,対象を医師に限定することなく,理学療法を対象とした本特集が組まれたことは,EBMの今後にとってきわめて大きな出来事にちがいない.EBMは医師だけのものであってはならないと感じるからである.それではEBMはいったい誰のものか.それがEBMを語るにあたって伝えたいまず第1のことである.

[誌上討論]EBM/EBP

著者: 内山靖 ,   大峯三郎 ,   岡西哲夫 ,   黒川幸雄 ,   彦田龍兵 ,   丸山仁司 ,   吉尾雅春

ページ範囲:P.321 - P.336

 内山 本誌では30巻5号で「脳血管障害後片麻痺と姿勢調節」というテーマで誌上討論を行いましたが,それに続く2度目の誌上討論を始めさせていただきます.

 今回は「EBM/EBP」のテーマで先生方にご議論いただくわけですが,EBM/EBPがこれだけ注目されている背景には,純粋な科学的志向とともに医療を取り巻く環境の変化など多くの要因があり,それらが重なり合っています.

 そこで,まずEBM/EBPに対する基本的なお考えをお聞かせ願えればと思います.

[EBP実践報告]

1.呼吸器疾患の理学療法

著者: 佐野裕子 ,   眞渕敏

ページ範囲:P.337 - P.340

はじめに

 呼吸理学療法の歴史は古く,1900年代初期に体位排痰法や呼吸トレーニングが行われ,それ以降,気道清浄化,肺再拡張と呼吸筋筋力増強を目的に慢性呼吸不全に用いられた.その後,急性呼吸不全にも適応が拡大され,貯留分泌物の排出,無気肺の治療,術後肺合併症予防に有効な治療法として広く普及している.しかし,呼吸理学療法に用いられている各治療手技の生理学的意義や臨床的有効性については経験的な評価,観察が中心で,科学的な裏づけとなる論文は乏しく,信頼性は低いといわざるを得ない.

 唯一,臨床効果が科学的に確定されたものが腹臥位,前傾側臥位への体位変換によるPaO2改善効果である.腹臥位は本来,S6,S10領域の気道分泌物をドレナージする目的で選択される体位であるが,急性呼吸不全のPaO2改善には,分泌物のドレナージのみならず複数の生理学的作用が寄与すると考えられている.本稿では,EBPの目的に沿って,体位変換と呼吸理学療法を併用した体位呼吸療法による効果とEBPの課題について述べる.

2.運動器疾患の理学療法

著者: 福井勉

ページ範囲:P.341 - P.344

 理学療法とEBM

 治療手段を選択し,臨床結果を見極め,効率的で,かつ高品質な患者中心の医療を実践することは,理学療法においても非常に重要な事柄であることは疑う余地がない.しかしながら,EBMの数々の手法を理学療法にそのままもってくるには何らかのフィルターが必要に思われるときがある,それは運動器疾患では運動の量とともに質が問われ,その質的表現が数値化しづらいこと,治療手技そのものはアナログ的であるため同一の運動療法が施行不可能なこと,また定性的にであっても治療効果を評価することが難しいためである.

 なかでも,重要な評価である動作分析そのものが経験的に行われていることが最大の原因と考えられる.更に間接的には理学療法士は自分の臨床技術についてはほとんど評価されなくても済んできたことも影響していると考えられる.本論ではEBMの目的に沿って,理学療法を施行した失敗経験を中心に述べたい.若い理学療法士の方々には効率的に進歩していただきたい.私のようでは駄目である.

とびら

トレーナーへの道

著者: 佐々木和人

ページ範囲:P.307 - P.307

 160キロを投げるという大リーグの左ピッチャー,ランディ・ジョンソンを先日の日米野球でみた.その時,数か月前に深夜テレビで観た通信販売番組を思い出した.ジョンソンが出てきて,巨大なへらをふるわせるのだ.彼曰く「筋力強化になる」「コンディション作りによい」らしい.私は「筋力強化になるまい」と思っていると,これを考案したという歳はめされているが筋骨隆々のスポーティな紳士がでてきた.驚いたことにその人は理学療法士だというのだ.

 また,今は亡くなったスポーツジャーナリストが「日本のスポーツの低迷は,メンタルセラピィとフィジカルセラピィの発展の遅れだ」とラジオで述べたことがある.このスポーツジャーナリストの知的で鋭い洞察力,歯に衣を着せぬ発言が好きで,何年間か毎週15分程度の番組を聞いていた.亡くなる少し前の発言だと記憶している.

入門講座 生活習慣病・5

骨粗鬆症

著者: 林泰史

ページ範囲:P.345 - P.351

 1.骨粗鬆症の定義・病因・症状

 1993年にホンコンで開催された骨粗鬆症に関する国際シンポジウムにおいて合意が得られた骨粗鬆症の定義では,「全身性の骨萎縮性疾患で,骨組織の劣化に伴い骨脆弱性を示し,易骨折性を示す疾患」とされている.易骨折性を示す疾患として骨軟化症もよく知られているが,骨軟化症は骨コラーゲンなど骨の有機質が正常最形成されても,それにカルシウムが沈着しないために骨が弱くなる疾患である.このことから,骨軟化症では単位体積当たりの骨有機質の割合は減らないが,骨無機質の割合が減る.これに比べて骨粗鬆症では,正常な骨と同じ割合で骨有機質,骨無機質が含まれているものの,両者の割合が骨の単位体積当たりとして減少する疾患のことをいう.

 骨粗鬆症を骨の組成からみると,図1の下図に示すように,健常骨に比べて骨有機質と骨塩とが同じ組成比を保ったまま減少した状態といえる.また,骨組織においては,図1の上図に示すように破骨細胞の数や機能の減少はみられないが,骨芽細胞の数が減少して骨形成の減少する場合が多い.したがって,骨粗鬆症では,骨有機質の形成も骨塩の沈着も同じ割合で減少するが,骨形成に比べて骨吸収の割合が増していることが多い.このように,骨代謝が低下しないのに骨萎縮が進むタイプの骨粗鬆症を高代謝回転型骨粗鬆症といい,これは閉経後骨粗鬆症に特徴的な病態である.一方,70~80歳代の女性や高齢男性では,破骨細胞,骨芽細胞がともに減少したり機能低下をきたして代謝が遅くなる低代謝回転型骨組懸症となりがちである.

プログレス

遠隔リハビリテーション支援システムの有用性

著者: 福士宏紀 ,   菊池詞 ,   高橋明

ページ範囲:P.352 - P.354

はじめに

 近年,IT(情報技術)の著しい進歩により,時間的・空間的な隔たりが比較的容易に埋められる状況になりつつある.「遠隔リハビリテーション支援システム」は社会の要請に対してアップトゥデートな技術をもって応えようとする1つの方策であり,今後とも進展が期待できるリハビリテーション医療の形態の1つであろう.これらを用いることにより,地域内での様々な要請に対し新しいリハビリテーション支援策が期待できるものと考えられる.

 いわてリハビリテーションセンターでは,平成5年10月の開設以来,岩手県から「地域リハビリテーション推進事業」の委託を受け,地域支援事業を実施している.加えて平成11年度より,厚生省の「へき地遠隔医療システム開発事業」の実施対象地域として,テレビ会議システムを用いた「遠隔リハビリ支援システム」が整備され,岩手県の沿岸部に位置する宮古総合福祉センターおよび久慈市保健センターと,ほぼ県の中心部に位置する当センターを結んでテレビ会議を行うことで,地域リハの活性化を図っている.

 本稿では,当センターにおけるテレビ会議システムの使用状況を紹介しながら,「遠隔リハビリテーション支援システム」の有用性や今後の課題について概説する.

Treasure Hunting

地域社会への限りないこだわり―水上直彦氏(柳田温泉病院リハビリテーション科)

著者: 編集室

ページ範囲:P.355 - P.355

 いきなり無農薬有機栽培米を使ったオリジナルの日本酒大吟醸といっても,読者の皆さんには何のことかおわかりにならないだろう.知り合いの造り酒屋に依頼して,自ら有機栽培した米から日本酒を造ってもらっている,その銘柄が大吟醸「五郎左ヱ門」と純米吟醸「宝暦杉」というわけなのです.石川県士会の水上直彦氏から送られてきた資料の冒頭でこの文字を発見して思わずインターネットで検索,パソコン画面の背後から芳醇な香りが漂ってくる感じで,「いっぱしの酒飲みとしては最高の味です」と仰る水上氏の入れ込み様が伝わってきたものです.

1ページ講座 介護保険のポイント・5

要介護認定

著者: 香川幸次郎

ページ範囲:P.356 - P.356

 保険制度とは,被保険者に介護事故が生じた場合に,保障が受けられる制度である.介護保険制度では,被保険者が介護を必要とする状態が介護事故であり,要支援と要介護(1~5)の状態である.要介護状態とは,身体上または精神上の障害があるため,入浴,排泄,食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について厚生省令で定める期間にわたり継続して,常時介護を要すると見込まれる状態である.要支援状態とは,身体上または精神上の問題があるため,厚生省令で定める期間にわたり継続して,日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって,要介護状態以外の状態をいうと定められている.

 要介護認定は,介護サービスの必要度を判定するものであり,被保険者の病状や重症度と要介護度とは必ずしも一致するものではない.また,高齢者の障害の程度や身体機能の程度を示したものでもない.介護認定はどれだけの介護が必要かを判断するものであり,「介護者の手間の程度」を表している.それゆえ,介護の手間を表す「ものさし」が必要であり,要介護認定等基準時間(以下,基準時間と略)がこの「ものさし」として用いられている.基準時間を推定するための基礎研究は1995年から開始され,特別養護老人ホーム,老人保健施設,介護力強化病院の各職員がどのようなサービスをどれくらい提供しているかを48時間にわたり調べた1分間タイムスタディのデータと,そのサービスを受けた入所・入院中の高齢者の身体機能や知的状態等のデータを組み合わせ,導き出されたものである.この結果をもとに要介護認定プログラムが作成され,平成11年度のモデル事業で検証作業が行われた.一次判定で用いられているコンピュータプログラムは,モデル事業において,調査結果の些細な変更が要介護度を変化させるなどの指摘を受け,修正が行われたものである.

あんてな

第38回日本リハ医学会学術集会のご案内

著者: 安藤徳彦

ページ範囲:P.357 - P.357

 第38回日本リハ医学会学術集会を「21世紀への船出,リハ医学の充実と普及」の主題で,平成13年6月14日(木)~16日(土)にパシフィコ横浜で開催します.主題に沿って座長に企画立案をお願いしてシンポジウム2題,パネルディスカッション5題を組み,加えて特別講演と特別座談会,招待講演2題,公募ワークショップ7題を設定しました.会員から600題余の応募を頂き,その期待に応える学術集会にすべく横浜市大リハ科一同は最大限の努力をしているところです.

 シンポ「21世紀のリハシステム」では診療各科・救命センター,医療機関相互,福祉施設・地域リハとの連携を討論し,さらに広い視野から一橋大学でマクロ経済学,医療経済学がご専門の鴇田忠彦教授にご意見を頂きます.

講座 最新電気生理学・2

脳磁図(magnetoencephalography; MEG)の臨床応用―現状と理学療法における有用性

著者: 川上治 ,   金桶吉起 ,   柿木隆介

ページ範囲:P.359 - P.364

 1.はじめに

 脳磁図(magnetoencephalography;MEG)は,脳磁場測定装置(脳磁計と略称される)を用いて脳内の磁場活動を記録するものである.近年急激に発展し,現在世界で50台以上の大型機器が稼働している.基礎神経科学分野においては機能的MRI(fMRI)やポジトロン断層撮影(PET)とならんで脳磁図の研究は高い注目を集めている.

 脳磁図は,脳波(electroencephalography;EEG)を基本的に応用したものであるが,脳の神経活動に伴うわずかな磁場をとらえるためにさまざまな高度の技術が用いられている.脳磁図を測定するには脳波とは比較にならないほどの規模の設備と費用が必要である.このようなコストパフォーマンスの悪さもあり,脳磁図が臨床分野において十分に普及しているとはいえない.

 脳磁図の研究が本格的に開始されてから20年以上が経過した.更に,30チャンネル以上の大型機器が登場して約10年,全頭(ヘルメット)型の機器が開発されてから7年が経過しようとしている.脳磁図の研究は,長い準備期間を経て発展期に入ろうとしている.日本でもこうした大型機器が20台以上も稼働している.特に大学病院,精神神経疾患専門の病院での設置数が増加しており,脳磁図の臨床応用の可能性についての今後の報告を世界中が注目している.現在,臨床分野で脳磁図が盛んに用いられているのは,「てんかん」と「脳神経外科」分野である.

 本稿では,脳磁図の原理,特徴を簡単に述べたうえで,臨床応用についての研究をいくつか紹介する.

新人理学療法士へのメッセージ

身体と頭を調和よく使える良い仕事

著者: 神先秀人

ページ範囲:P.366 - P.367

 新しく理学療法士の仲間入りされた皆さんおめでとうございます.

 私も資格を得てかれこれ20年になります.初めの4年間はリハビリテーションセンターに勤務し,その後現在の大学病院に移りました.当初は患者さんのリハビリテーションをまるで自分ひとりが背負っているかのような錯覚に捕らわれていた時期があり,多くの方に失礼や迷惑をかけた覚えがあります.その頃は,患者さんに対しても,組織全体に対しても見えていない部分が多かった気がします.

 こうした自分の過去を反省しつつ,今までの経験から心に残る思い出や,学んだことを述べさせていただきます.

“失敗”から学ぶということ

著者: 橘田将一

ページ範囲:P.368 - P.369

 新しく理学療法士になられた皆さんに心よりお祝いを申し上げます.

 今回,小生のような者に「新人理学療法士へのメッセージ」の原稿が依頼されたことに,役不足を感じます.しかし,この貴重な機会を使わせていただき,自分を振り返って反省することができたらと思い,引き受けることとしました.

書評

―柳澤健・乾公美(編)―PNFマニュアル

著者: 奈良勲

ページ範囲:P.365 - P.365

 PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation:固有受容性神経筋促通法)は,1940年代後半に医師のKabatがポリオ患者の筋活動を高めるための生理学的理論を構築し,それを受けて1950年代に,理学療法士のKnottとVossによって開発された運動療法の1つである.

 PNFの初版は,1956年にKnottとVossによって著され,その後改訂が加えられ,日本語訳も出版されている.

--------------------

文献抄録

ページ範囲:P.370 - P.371

編集後記

著者: 内山靖

ページ範囲:P.374 - P.374

 本号の特集は“Evidence-based practice in Physical Therapy”です.エディトリアルでも触れましたが,現代医療においては,IC,CP,TQM,EBMなどの横文字略語がキーワードになっています.医療の目標が対象者の幸福に寄与することでは古代から何の変わりもありませんが,その時代の社会のニーズにおいて直面する課題は異なっています.医療や福祉が一時の流行に右往左往したり,社会・経済状態に本質が歪められることは由々しき問題ですが,医療界だけが世間とかけ離れて安穏としてよいはずはありません.最近は,“EB”の後にその領域を示す英語をつけた記事が目にとまります(EB Nursing,EB Public Health,EB Laboratory Scienceなど).これはEBMのMを狭義の医学とすればそれぞれの領域を示すことになるでしょうが,医療と考えれば単に領域の違いのみを主張することにどれほどの意味を持つのかは慎重に考えなければなりません.

 一般的に我が国では,EBMを“科学的根拠に基づく医療”と訳しています.これによって随分と堅苦しいイメージを持たれている臨床家が多いと聞いています.具体的には,学問的に確立した治療でなければ実施できないのか,型に填まった医療しかできなくなるのか,絶えず膨大な文献を整理しなければ臨床は成り立たないのか,などです.これに対して名郷先生はじめ特集記事全体で明快な答えを出しています.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?