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特集 EBP in Physical Therapy [EBP実践報告]
1.呼吸器疾患の理学療法
著者: 佐野裕子1 眞渕敏2
所属機関: 1東京医科大学病院リハビリテーション科 2兵庫医科大学リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.337 - P.340
文献購入ページに移動呼吸理学療法の歴史は古く,1900年代初期に体位排痰法や呼吸トレーニングが行われ,それ以降,気道清浄化,肺再拡張と呼吸筋筋力増強を目的に慢性呼吸不全に用いられた.その後,急性呼吸不全にも適応が拡大され,貯留分泌物の排出,無気肺の治療,術後肺合併症予防に有効な治療法として広く普及している.しかし,呼吸理学療法に用いられている各治療手技の生理学的意義や臨床的有効性については経験的な評価,観察が中心で,科学的な裏づけとなる論文は乏しく,信頼性は低いといわざるを得ない.
唯一,臨床効果が科学的に確定されたものが腹臥位,前傾側臥位への体位変換によるPaO2改善効果である.腹臥位は本来,S6,S10領域の気道分泌物をドレナージする目的で選択される体位であるが,急性呼吸不全のPaO2改善には,分泌物のドレナージのみならず複数の生理学的作用が寄与すると考えられている.本稿では,EBPの目的に沿って,体位変換と呼吸理学療法を併用した体位呼吸療法による効果とEBPの課題について述べる.
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