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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル35巻5号

2001年05月発行

文献概要

入門講座 生活習慣病・5

骨粗鬆症

著者: 林泰史1

所属機関: 1東京都多摩老人医療センター

ページ範囲:P.345 - P.351

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 1.骨粗鬆症の定義・病因・症状

 1993年にホンコンで開催された骨粗鬆症に関する国際シンポジウムにおいて合意が得られた骨粗鬆症の定義では,「全身性の骨萎縮性疾患で,骨組織の劣化に伴い骨脆弱性を示し,易骨折性を示す疾患」とされている.易骨折性を示す疾患として骨軟化症もよく知られているが,骨軟化症は骨コラーゲンなど骨の有機質が正常最形成されても,それにカルシウムが沈着しないために骨が弱くなる疾患である.このことから,骨軟化症では単位体積当たりの骨有機質の割合は減らないが,骨無機質の割合が減る.これに比べて骨粗鬆症では,正常な骨と同じ割合で骨有機質,骨無機質が含まれているものの,両者の割合が骨の単位体積当たりとして減少する疾患のことをいう.

 骨粗鬆症を骨の組成からみると,図1の下図に示すように,健常骨に比べて骨有機質と骨塩とが同じ組成比を保ったまま減少した状態といえる.また,骨組織においては,図1の上図に示すように破骨細胞の数や機能の減少はみられないが,骨芽細胞の数が減少して骨形成の減少する場合が多い.したがって,骨粗鬆症では,骨有機質の形成も骨塩の沈着も同じ割合で減少するが,骨形成に比べて骨吸収の割合が増していることが多い.このように,骨代謝が低下しないのに骨萎縮が進むタイプの骨粗鬆症を高代謝回転型骨粗鬆症といい,これは閉経後骨粗鬆症に特徴的な病態である.一方,70~80歳代の女性や高齢男性では,破骨細胞,骨芽細胞がともに減少したり機能低下をきたして代謝が遅くなる低代謝回転型骨組懸症となりがちである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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