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特集 筋力再検討
筋増量のメカニズム
著者: 後藤勝正1 吉岡利忠12
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学生理学教室 2青森県立保健大学
ページ範囲:P.387 - P.394
文献購入ページに移動骨格筋は可塑性に富んだ器官である.つまり,よく使うことで肥大化(増量)し,使わないことで細く萎縮する.前者の骨格筋の肥大(増量)は,筋力トレーニングなどによる負荷の増大に応答して引き起こされ,後者の骨格筋の萎縮は,無重量環境への曝露(宇宙滞在),長期臥床(寝たきり)やギプス固定,更に老化などにより見られる.筋力トレーニングなどの負荷増大による筋増量は,①筋肉組織を構成する1つひとつの細胞(骨格筋細胞は細く長い形状をしているので筋線維と呼ばれる)が肥大する,および②筋細胞数が増加する(増殖)ことによる(図1).
骨格筋細胞の肥大は,筋線維内でのタンパク質合成増加およびサテライト細胞(筋衛星細胞)の分裂と融合が促進して,筋組織を構成する1個1個(1本1本)の骨格筋細胞(線維)が太くなることによる.したがって,筋細胞の核数は肥大に伴って増加するが,この増加した核はサテライト細胞に由来すると考えられる.一方,筋細胞数の増加(増殖)に関しては,長年にわたりその真偽について議論されてきた.数年前までは筋細胞数の増加はほとんどないとする考えが一般的であった.しかし近年,トレーニングの形態や強度,対象年齢など負荷条件によって,筋細胞の増殖はある程度生じるとする考えが定着しつつある.
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