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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル35巻8号

2001年08月発行

雑誌目次

特集 病棟理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.529 - P.529

 理学療法といえば運動療法室におけるものを中心に捉えてきた感があるが,今日の在院日数の短縮化,クリティカルパスの導入,早期リハの定着化等から病棟内の理学療法のあり方がむしろ重要となっている.病棟理学療法をより効果的に実施するためには業務システムの見直し,評価内容やアプローチ方針の明確化に加え,具体的な理学療法をどのように実施するかが問われている.

 今回,病院の機能特性に対応した病棟理学療法の実際と課題について解説していただき,病棟理学療法がリハの原点として見直され発展することを願って企画した.

病棟配属制のリハビリテーション医療

著者: 田中正樹

ページ範囲:P.531 - P.536

はじめに

 リハビリテーションは様々な職種が1人の患者さんに多面的に関わる分野であるといわれるが,ばらばらにアプローチするとどういう結末になるか,臓器別医療が世間から批判を受けている例をみれば明白である.リハビリテーションの分野では,理想的なチームワークのとり方として「協業」が知られている.職員の入れ替わりが激しい当院では,チームワークのあり方について明確な形で現場に定着させる必要があり,これまで試行錯誤を繰り返してきた.

一般病院における病棟理学療法の役割と今後の課題

著者: 湯元均

ページ範囲:P.537 - P.541

はじめに

 病棟生活のなかで実施されている理学療法の目的は,合併症予防,廃用予防,機能回復,ADL改善などケースの状況・医療機関の環境等により様々であると考える.しかし,病棟理学療法は,単にその実施空間が病棟ということではなく,目的に即した実施空間が病棟であり,訓練室以外の共有空間であるということと考える.

 以前は,訓練室以外での理学療法は保険請求の対象外であったが,その後実施されてきた理学療法の効果が認められ病室・病棟での理学療法も可能となった.また,その広がりは在宅にも向き,生活場所となる自宅ばかりでなく,屋外での移動練習や公共機関の利用練習などにも広がっていった.これらの流れは,先人たちの「リハビリテーション・理学療法は訓練室で行うもの」からの脱却による「より実生活に即した空間での実践」への変革の努力の結果であると捉えている.

 今後の医療情勢の変化から,これから実施されてくるであろう診療報酬の診断群別包括支払い方式(DRG-PPS)を見越し,より効率よい医療の展開が求められる.

 これからは,クリティカルパスの整備により,治療のための安静期間に生じた体力低下などが回復した後に退院するというケースはごく僅かになり,またあわせて,各種外科系手術前後からの積極的な理学療法の関わりも必要とされてくると考える.これらの背景を見据え,現状との対比のなかで病棟理学療法の課題についても触れることにしたい.

回復期リハビリテーション病棟における理学療法

著者: 中島由美 ,   高見麻衣 ,   橋本康子 ,   吉尾雅春

ページ範囲:P.543 - P.550

はじめに

 平成12年4月の診療報酬改定により「回復期リハビリテーション(以下リハ)病棟」が新設され,PT,OTが病棟配置となった(表1).これは,そこに関わる患者および医療スタッフにとって画期的なことでもあったが,同時に全く未知のことでもあった.

 回復期リハ病棟では,QOLの向上を目的とし,退院後の生活を意識しながらPTやOTも病棟においてADL能力の回復を目指す.障害のあらゆる側面を考慮したプログラムを実行し,寝たきリ化の予防,自宅復帰を促進していくことが求められている.入院当初より,患者および家族にもチームへの主体的な関わりを求め,「リハビリテーション総合実施計画書」に基づいてチーム全体としての具体的な目標設定とプログラムの実行を展開しなければならない.求められているものはADL能力の改善であって,一般的に理学療法室で行われているような機能障害に対する運動療法ではない.

 これまで当然のように行ってきた理学療法室における業務の見直しと回復期リハ病棟への参画には,かなりの戸惑いと葛藤があった.同時にPT,OTを病棟に迎える看護婦,医師をはじめ全てのスタッフにも相当の戸惑いと葛藤があった.回復期リハ病棟の開設にあたって,これらの問題を解決していくために多くの時間とエネルギーを費やした.チームの未熟さはいくつかの失敗を招いたが,一方ではそれが新たなチーム力の向上につながった.そのつど討論を繰り返し,チームとしての共通の価値観の形成を心がけた.そのような試行錯誤のなかで学んだ回復期リハ病棟の理学療法のあり方について述べる.

介護療養型病床における病棟理学療法

著者: 安倍匡子 ,   笛田宗由 ,   渡辺要一

ページ範囲:P.551 - P.558

はじめに

 当院が病床の一部を療養型病床群に移行したのは2000年1月である.それ以前に,厚生省は病院における付き添い人制度を廃止したり,看護基準の見直しと介護職員の充実を図ったりと,高齢社会へ向けた人的対策を整えてきており,その一環として介護力強化病棟が設定され,更に療養環境の向上を目指して療養型病床群が創設された.当院の対応は決して早いものではなかったが,ことリハビリテーションにおいては,介護力強化病棟に参入した当初から,訓練室から離れたいわゆる病棟内リハビリテーションとして関わり始めた.

 医療法の改正,新ゴールドプランに続くゴールドプラン21や公的介護保険の登場などに象徴されるように,ここ数年の医療情勢は大きく変化しつつあり,それに対応したリハビリのあり方が模索されてきている.今回は,当院療養型病床における病棟リハビリの経験を報告し,それを通して見えてきた病棟リハビリの課題についてまとめてみた.

大学医学部附属高次総合病院における病棟理学療法―救命救急センターを中心に

著者: 笹澤まつみ ,   龍口順子 ,   藤谷尚子

ページ範囲:P.559 - P.565

はじめに

 今日,全般的な在院日数の短縮化の動きに伴い,一貫した早期リハビリテーション,特に病棟理学療法の役割が重要視されてきている.

 大学病院では専門化された高度な医療を担っており,また第3次救急病院としての機能を果たしているところも多い.したがって,リハの対象となる症例も急性期を中心に多様である.また,救命救急センターやICUなどでの急性期リハに関与することも多く,頭部外傷,多発外傷脳血管障害,熱傷のリハや術後の肺理学療法の報告などもみられている1-8)

 当院は第3次救急病院の機能を有する,横浜市立大学医学部附属の高次総合病院である.そこで当院の病棟理学療法の現状について,早期病棟理学療法の需要の高い救命救急センターを中心に報告する.

とびら

『チーズはどこへ消えた?』

著者: 沼倉たまき

ページ範囲:P.527 - P.527

 新世紀の幕開けとなり,ちょっとしたお祭り気分で迎えた2001年も,気がつけば新緑の季節を過ぎて,真夏の太陽が燦々とふり注いでいる.変化の早さに圧倒されるばかりで,仕事も生活も人の心も,多様に変化している.これらの変化を肯定的に受けとめて柔軟に対応していくためには,変化をどう捉え,理解すれば良いのだろうか.新しい環境や状況の変化にうまく対応できず,迷路のなかで袋小路にぶつかることもしばしばである.

 最近読んだ絵本のような一冊の本『チーズはどこへ消えた?』が,私に何かを与えてくれた.登場するのは,二匹のネズミ「スニッフ」と「スカリー」と,二人の小人「ヘム」と「ホー」,この二匹のネズミと二人の小人が「迷路」のなかに住み,「チーズ」を探し求めるという単純な物語.「チーズ」とは,私達が人生で求めているもの,つまり仕事,家族,財産,健康,精神的な安定などであり,「迷路」はチーズを追い求める場所,つまり職場や社会,あるいは家庭かもしれない.

入門講座 映像情報の活用法・2

心要な機材・ソフト

著者: 夏目健文

ページ範囲:P.567 - P.571

 1.はじめに

 今回のテーマは,映像情報を扱うために必要な機材とソフトについてである.映像情報をパソコンで扱う場合,取り込む機材,管理・編集に必要なソフトに加えて,出力する機材について知っておく必要がある.

 次ページの図は,映像情報を扱うための主な入出力装置である.入力装置をデジタルデバイスとアナログデバイスに分けると,デジタルデバイスではデジタルビデオカメラ(以下,DVカメラ)・デジタルカメラ(以下,デジカメ)のほかに,パソコン通信などで利用されるCCD(シーシーディー)カメラ,ペンでなぞらえることで入力できるタブレット・マウスなどがある.また,アナログデバイスでは,アナログビデオ,フイルムを読みとるフイルムスキャナ,写真・雑誌・本などから読みとるイメージスキャナがある.出力装置は,スライドを作るためのフイルムレコーダー,パソコンより直接スライド投影を可能にするデータプロジェクター,プリンター,テレビやビデオへのアナログ出力を可能にするダウンスキャンコンバーターなどがある.このほか,映像情報の出力は,インターネットによる映像の配信や大容量記憶媒体へのバックアップがある.

 この稿では,以上の機材や関連するソフトについて述べ,加えて,パソコンのバスとインタフェースについてふれる.

プログレス

歩行分析の最近の話題

著者: 江原義弘

ページ範囲:P.572 - P.574

 最近の話題から2つだけ紹介する.

 1.計測結果がCGでリアルに表現される

 この50年間の歴史からいうと,動作分析・歩行分析の計測技術は労働科学,整形外科,リハビリテーション,スポーツの分野などにおいてこつこつと地道に築き上げられてきたのであるが,この数年ゲーム産業や映画産業がこの技術を活用しだして,状況が一変してしまった.ニーズが大きく,開発企業が競争で最新技術を投入してあっという間に芸術的にまで強力な動作分析のツール(モーションキャプチャシステム)を市販しだしたのである.一世代前の機器しか知らない方は是非展示場などでご覧いただくことを薦める.

 カメラ機器の校正(キャリブレーション)は数点のマーカを添付したフレームを設置して基準位置を覚え込ませたあと,マーカをつけた棒を視野内で振り回すだけで簡単に終了する.身体につけるマーカは30以上あっても十分実用でき,マーカ認識は最初手作業で認識したあとは以後の試行はほとんど自動で処理ができる.したがって,被検者が歩き終わった時点では3次元処理,マーカ認識までが終了していることになる.従来は実際上不可能であった複数の被検者の同時計測も実用レベルになっている.したがって,介護動作の分析などにも応用が広がるであろう.

Treasure Hunting

洞爺の自然に育まれた地域リハへの信念―山田 晃氏(室蘭太平洋病院リハビリテーション科)

著者: 編集室

ページ範囲:P.575 - P.575

 昨年3月31日に始まった北海道有珠山の噴火とその後の避難生活の困難は読者の記憶に鮮明に残っていることだろう.観光客の途絶えた温泉街の閑古鳥がやたら目立った感がある一方で,洞爺湖近隣の病院が甚大な被害を受けたことは意外に知られていない.

 今月ご登場いただいた山田晃氏は有珠山の噴火による避難生活を2度も体験し,今回の噴火では34年間にわたって地域医療に汗を流した職場を去ることになった.それだけに,氏から送られてきた資料のそこここから洞爺の自然に対する熱き想いが吹き出してくる感じがしてならないのである.

あんてな

勤労者医療と一次予防

著者: 半田一登

ページ範囲:P.576 - P.577

 今と将来を語るためには過去を見つめ直す必要があります.現在,労災病院は全国に39施設を展開していますが,その始まりは昭和24年の九州労災病院設立にまで溯ります.設立目的はその名のように労災患者の治療で,設立当初は労災患者が入院患者の90%以上(ただし,ベッド数34床)を占めていました.九州労災病院の資料によりますと設立から10年が経過した昭和33年には労災患者は80%を割り込んでいます.これは単に労災病院に労災患者が来なくなったということではなく,就労環境が徐々に整備されていった結果と言えます.また,昭和33年には理学診療科に職能療法室(資料によるとこの頃から作業療法という単語が使われ始めている),回復訓練室(後に理学療法室と改名される),マッサージ室,一般理療室が配置され,専属のケースワーカーがいたことには驚かされます.

 このような先進的な取り組みが行えたのには服部部長の存在が大きいのですが,それ以上に九州労災病院初代院長内藤先生の障害者にも社会参加させるという方針は特筆されるべきものです.この考え方がその後に設立される全国の労災病院に大きな影響を与えたことは言うに及ばないことです.そのうえに,この院長は停年後には障害者の作業所所長になられ,その生きざまに感動してしまいます.

1ページ講座 介護保険のポイント・8

保険給付の種類―2)居宅サービス

著者: 香川幸次郎

ページ範囲:P.578 - P.578

 居宅サービスは,サービス事業者が利用者の家庭を訪問してサービスを提供する訪問型と,利用者が施設等に通ってサービスを受ける通所型,そして家庭ではないが入所系のサービスを利用する三者に大きく分類することができる.

 訪問介護(ホームヘルプサービス)は,利用者の起床や排泄介護,入浴介護といった身体介護が中心の「身体介護中心型」や,掃除,洗濯,調理といった家事援助が中心の「家事援助中心型」と,これら二者が同程度に行われる「複合型」の三者に分類されている.制度発足当初は前二者のみであったが,実態にそぐわないとして複合型が追加された.訪問入浴介護には,訪問入浴事業所から派遣される看護職員1名と介護職員2名が従事し,浴槽等を家庭に持ち込み入浴の介助を行うものである.訪問看護は,訪問看護ステーションや病院または診療所から看護婦等が訪問看護計画に基づき看護サービスを提供するものであり,介護保険法施行前の老人訪問看護制度を継承している.訪問リハビリテーションは,訪問リハビリテーション事業所(病院または診療所)から理学療法士または作業療法士が利用者の居宅を訪問し,要介護状態の軽減もしくは悪化の防止,または要介護状態になることを予防するようリハビリテーションの目標を設定し,計画的に行われるものである.訪問看護も訪問リハビリテーションも主治医からの指示が必要である.居宅療養管理指導は,居宅療養管理指導事業所(病院または診療所や薬局)から,医師,歯科医師,薬剤師,歯科衛生士または管理栄養士が,通院困難な利用者の居宅を訪問し,療養上の管理指導を行うものである.介護報酬上では職種によって訪問回数に制限があり,医師や歯科医師は月1回,薬剤師と管理栄養士は2回,歯科衛生士は4回と定められている.

講座 「まち」をつくる側からの提言・2

公共交通機関と交通バリアフリー法

著者: 溝端光雄 ,   北川博巳

ページ範囲:P.579 - P.583

 1.はじめに

 近年,高齢者や障害者にやさしいまちづくりが声高に叫ばれ,これまでも国や地方で様々な事業が実施されてきている.ところが,実際にまちを散策してみると,公共交通機関や道路などの社会基盤には未だに多くのバリアが残存しているように思う.何故,バリアの除去が進まなかったのか.その根元には,こうした整備に対する社会的な合意がなかなか得られなかったという事情がある.しかしながら,我が国が世界一の超高齢社会に接近し,ノーマライゼーション理念に対する理解が徐々に浸透するなかで,高齢者や身体障害者等が自立した生活を行い積極的に社会と係わるべきであるとの社会的認識が高まり,昨年,「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(以下,交通BF法)」(国土交通省・警察庁・総務省が関係)が公布・施行された.社会基盤のBF化を進める法制度ができたという点で意義深く,今後の具体的な展開が期待されている.いわば,本法の施行で建物や歩道の一部を対症療法的に改善していた点的整備の時代から,地域の主要なターミナルとその周辺に存在する諸施設を総合的かつ計画的にBF化する面的整備の時代に向けて,我が国の社会基盤整備が入ったことを意味している.

 本稿では,交通BF法に基づいて今後のまちづくりを展開するためには何が必要となるのか,更に同法による基盤整備の限界とそれをクリアするためにはどうすれば良いのかについて,筆者らの見解を述べてみたい.

雑誌レビュー

“Physical Therapy”2000年版まとめ

著者: 市橋則明 ,   池添冬芽 ,   大畑光司 ,   加藤典子 ,   伊吹哲子

ページ範囲:P.584 - P.590

はじめに

 米国理学療法士協会の機関誌である“Physical Therapy”は2000年で80巻となり,全12冊に64編の論文が掲載されている.掲載論文の構成は表1に示すとおりであり,昨年とほほ同様の傾向である.本稿ではResearch Report,Special Series,Perspectiveを中心に紹介し,Case Reportに関しては誌面の都合上簡単に傾向を紹介するにとどめる.なお,本文中の[ ]内の数字は( )が論文の掲載号数,続く数字が通巻のページを示す.

資料

第36回理学療法士・作業療法士国家試験問題(2001年3月2日実施) 模範解答と解説・Ⅱ―理学療法(2)

著者: 乾公美 ,   武田秀勝 ,   乗安整而 ,   宮本重範 ,   橋本伸也 ,   吉尾雅春 ,   田中敏明 ,   小塚直樹 ,   青木光広 ,   石川朗 ,   高柳清美 ,   片寄正樹 ,   小島悟

ページ範囲:P.591 - P.597

書評

―網本和(編)―標準理学療法学 物理療法学

著者: 佐々木誠

ページ範囲:P.550 - P.550

 本書の編者である網本和氏は,理学療法におけるシャープな臨床観察と研究成果の整合性ある解釈を,平易な言葉で伝達する実践家である.執筆陣は物理療法学分野において第一線に立って検証のための研鑽を継続されており,充実した内容の書に仕上がっている.

―稲川利光(著)―生き生きケア選書 老人ケアの元気ぐすり―“心の元気”を吹き込む「ケアの元気ぐすり」

著者: 村上重紀

ページ範囲:P.566 - P.566

 「身体拘束ゼロへの手引き」が厚生労働省から発行された.介護保険法の施行に伴い,介護保険施設におけるケアの質の向上を促すためである.「拘束」とは貧しいケアの象徴である.だから,「なにが,またどこまでが拘束なのか?」という議論はまるで意味がない.さまざまな理由や形で行われている「拘束」の実態を直視し,その検証を通して,高齢者の人権やケアの意味を問い直す意識と,現場での「拘束ゼロ」への取り組みこそが肝要なのだ.本書『「老人ケアの元気ぐすり』はそうしたケアの意味を,しかし理屈ではなく身をもって示してくれる楽しい実践レポートであり,情感豊かなリハビリエッセイである.

 著者の稲川利光さんはPT(理学療法士)として病院・地域で活躍し,その後医師を目指して医科大学に入学し,40歳を超えてから医師になった人である.その経歴も異色だが,もともと人間が異色なのだろう.そのことはPT時代に,「ET」(Entertainment Therapyの略)という新語を掲げ,「つらく苦しい機能訓練ではなく,明るく楽しいETを」と提唱し,お年寄り,家族,セラピストが共に楽しみながらすすめる新しいリハビリの形,いわゆる“遊びリテーション”の先駆的な実践を積み重ねてきたことからもうかがわれる.

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文献抄録

ページ範囲:P.598 - P.599

編集後記

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.602 - P.602

 学校教育史上未曾有の大阪池田市の小学校児童殺傷事件には言葉に言い表せないほどの憤りと虚しさを覚え,子どもたちの命のかけがえのなさをかみしめた親は多いはずです.子どもたちの安全と幸福を保障できない社会には子どもたちの未来はありません.また,わが子を虐待する親たちが後を絶たない現状を直視し,子どもたちを取り巻く生活環境にもっと関心を払っていくような社会でなければ,高齢者の健やかな保健,医療,福祉体制が整わないのではないかと思います.

 さて本特集は「病棟理学療法」です.これまでの病棟理学療法に対する関心度合は,運動療法室における理学療法と比べて低かったように感じます.その理由としては理学療法士が少なかった発展期の頃から片麻痺や整形外科疾患などimpairment中心の理学療法技術やその理論体系の構築にエネルギーを注いできたこと,また理学療法業務の円滑化を図るために病棟理学療法の領域を術直後やICUなどの急性期,寝たきり状態の慢性期とするなど病期区分で業務分担してきたことも関与していると考えられます.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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