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特集 医療事故管理
循環器疾患のリスクマネジメント
著者: 佐藤滋1 外久保恵美1 古川陽子1 斉藤雅彦2 上嶋健治2
所属機関: 1岩手医科大学附属循環器医療センター心臓リハビリテーション室 2岩手医科大学附属循環器医療センター第二内科
ページ範囲:P.743 - P.753
文献購入ページに移動近年理学療法士(以下,PT)の業務は多様化し,専門化も進んでいる.特に心臓リハビリテーション(以下,心リハ)は平成8年度に健康保険適用が拡大され,心リハに関与するPTが増加している.また本邦では心疾患患者が年々増加しており,脳血管障害あるいは整形外科疾患症例でも心疾患を合併している場合も多い.すなわち,すべてのPTは心疾患に関するリスクを速やかにマネジメントできなければならない.
リスクマネジメントの目的は「医療の質の確保を通して,組織の損失を最小に抑えること」とされ,その基本はアクシデントの予防にある.そして,リスクマネジメントに関するキーワードに“proactive”がある.すなわち起きてから慌てるのではなく,起きる前に対応する必要がある.それにはリスクの把握からすべてが始まる1).
そこで本稿では循環器専門病院に専属で勤務するPTの立場で,心リハを軸に当センターの概要,心リハシステム,PTの役割,心疾患に関するリスク,具体的な症状の変化,医療事故の概要および当センターの事故への対策について報告する.
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