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特集 医療事故管理
糖尿病症例における医療事故管理
著者: 野村卓生1 石田健司1 池田幸雄2 山崎裕司3 佐藤厚4 榎勇人1 岡崎里南1 森本隆浩1 川上照彦1 山本博司1
所属機関: 1高知医科大学附属病院リハビリテーション部 2高知医科大学附属病院第二内科 3高知リハビリテーション学院 4高知女子大学大学院人間生活学研究科
ページ範囲:P.771 - P.777
文献購入ページに移動1997年の厚生省の実態調査によると,本邦における糖尿病有病者は690万人で,40歳以上の10人に1人が糖尿病といわれている.糖尿病は動脈硬化の促進要因の一つであり,脳血管障害,冠動脈疾患などの発生原因でもある.同一地域における22年間の追跡調査では,脳卒中発生者の15%に耐糖能異常が合併したことが報告されている1).これらのことは,理学療法現場において糖尿病を合併した患者に遭遇する機会が多いことを示している.
糖尿病では,血糖変動に対する配慮がリスク管理上のポイントであるが,代謝異常が長く続けば網膜症,腎症,神経障害など多様な合併症が出現し,それらに対するリスク管理が加わることになる,糖尿病患者の初診時における循環器系疾患の合併率は,高血圧40%,虚血性心疾患15%と報告されている2).さらに罹病期間が20年以上の患者では,約70%に網膜症や腎症が認められる3).加えて,神経障害の合併によって,多くの患者は自覚症状に乏しく,このことがリスク管理の重要性を増している.
以上のような点から,糖尿病合併患者については,十分なリスク管理への配慮があってこそ,積極的な理学療法の展開が可能になるといえよう.本稿では糖尿病患者に対する理学療法におけるリスク管理,事故予防の方法について,筆者らの経験をふまえ概説する.
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