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あんてな
欠格条項の見直しと残された課題
著者: 竹下義樹1
所属機関: 1竹下法律事務所
ページ範囲:P.970 - P.972
文献購入ページに移動ごく最近,関西の医科大学で学ぶ全盲の学生と知り合った.彼は全盲に加え,四肢麻痺も有している.病気療養のため留年を余儀なくされたが,現在卒業と医師国家試験の受験に向けて努力中である.まさに,医師法の欠格条項が削除されたことによって,彼の点字受験と医師免許の取得が現実のものとなりつつある.しかし,国家試験の受験と免許取得までにはいくつもの障壁(バリア)が予測される.
障害のある人の社会参加を阻む欠格条項を含む制度は,平成10年時点で国が指摘したものだけでも63に上る.ただし,ここで注意しなければならないのは,障害のある人の社会参加を阻んでいるものは前記の63の制度にとどまるものではなく,通知通達や要綱などによって排除されているものを含めれば200を超えているということである.しかし,ここでは平成10年以後改正の対象とされてきた前記の欠格条項を中心に私の考えを述べることにする.
欠格条項がこのように多く設けられてきたのはなぜなのであろうか.そこに合理的な理由ないし根拠が存在したのであろうか.そうした分析は欠格条項を撤廃し,障害のある人の社会参加ないし自己実現を保障するうえで不可欠である.なぜなら,障害のある人の社会参加や自己実現を保障するためには,単に欠格条項の撤廃(あるいは内容の変更)で十分であるかどうかが問われているからである.また,社会のコンセンサスが得られるかどうかという点で,そうした分析は不可欠である.
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