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文献概要
あんてな
脳性まひを持つ子どもの両親の療育
著者: 和田明美1
所属機関: 1福岡市社会福祉事業団心身障害福祉センター療育課
ページ範囲:P.138 - P.139
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「私にとって耐える“訓練”はトラウマでしかない.私は杖で歩くことに疲れ,車いすを選んで多くの自由を手にした.」これは最近知り合った脳性まひを持つ女性が語った言葉である.これまで,子どもの運動機能の向上を至上課題に理学療法を行ってきた私には,とてもショッキングな言葉であった.
私が就職した頃は,「早期に発見し集中して○○法さえ行っていれば脳性まひは改善する」,そんな風潮があったように思う.少なくとも新人の私にはそう感じられ,小児分野で理学療法士として働くには,とにもかくにも技法を習得しなければと思っていた.そして,その技法を通して子どもが良くなれば,本人だけでなく家族も社会も全ての問題が解決すると信じていた.しかしその当時,理学療法を行ってきた子どもたちが大人になっていくなかで,生活力が育っていないために自立が難しかったり,痛みや機能低下などの二次障害に悩まされている実態を知り,また,子どもの成長とともに増える介助負担や将来に関する不安を彼等の親から聞くなかで,私の抱いていた考えは幻想に過ぎないと感じるようになった.
子どもの障害を治すことのみに精力を注ぎ,両親に多大な負担を強いる療育のあり方は今や省みるべき時期にきていると思う.
「私にとって耐える“訓練”はトラウマでしかない.私は杖で歩くことに疲れ,車いすを選んで多くの自由を手にした.」これは最近知り合った脳性まひを持つ女性が語った言葉である.これまで,子どもの運動機能の向上を至上課題に理学療法を行ってきた私には,とてもショッキングな言葉であった.
私が就職した頃は,「早期に発見し集中して○○法さえ行っていれば脳性まひは改善する」,そんな風潮があったように思う.少なくとも新人の私にはそう感じられ,小児分野で理学療法士として働くには,とにもかくにも技法を習得しなければと思っていた.そして,その技法を通して子どもが良くなれば,本人だけでなく家族も社会も全ての問題が解決すると信じていた.しかしその当時,理学療法を行ってきた子どもたちが大人になっていくなかで,生活力が育っていないために自立が難しかったり,痛みや機能低下などの二次障害に悩まされている実態を知り,また,子どもの成長とともに増える介助負担や将来に関する不安を彼等の親から聞くなかで,私の抱いていた考えは幻想に過ぎないと感じるようになった.
子どもの障害を治すことのみに精力を注ぎ,両親に多大な負担を強いる療育のあり方は今や省みるべき時期にきていると思う.
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