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特集 バランス障害と理学療法
平衡機能障害を伴う脳幹梗塞患者の動作分析
著者: 井出大1
所属機関: 1永生病院リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.233 - P.239
文献購入ページに移動 序論
脳幹は生命維持に直結した中枢が集積された部位である.脳幹病変による障害像は脳神経障害,小脳性運動失調,排尿障害,意識障害といった症状が多彩に重複している特徴があるといえる.その障害の程度により植物状態,閉じ込め症候群などの重症例から橋でのラクナ小梗塞例のように早期に回復が得られる症例と非常に多岐に渡るといえる.
横山らは脳幹・小脳病変を有する患者のリハ成績とその阻害要因について検討し,広範囲の脳幹部病変,四肢麻痺,体幹バランス障害,非麻痺側の失調を有するものはリハ成績不良で,歩行やADLが自立したものは無いと報告している1).また小野木らは,脳幹部病変患者の症状,リハビリテーションの効果を検討し,眼症状を伴う症例ではADLの監視が必要であり,片側失調の症例では自立項目が多いが,両側失調と四肢麻痺の症例では障害が重度であり,介護量の軽減が主となったと報告している2).
このような多彩で重複している障害像を理解し,理学療法における治療戦略の立案を行うためには神経生理学,神経心理学,認知神経科学といった脳科学の知見と運動学,運動力学,工学,福祉工学といった医学と隣接領域の学問の統合と理解が必要であることは自明のことと考えられる.
脳幹は生命維持に直結した中枢が集積された部位である.脳幹病変による障害像は脳神経障害,小脳性運動失調,排尿障害,意識障害といった症状が多彩に重複している特徴があるといえる.その障害の程度により植物状態,閉じ込め症候群などの重症例から橋でのラクナ小梗塞例のように早期に回復が得られる症例と非常に多岐に渡るといえる.
横山らは脳幹・小脳病変を有する患者のリハ成績とその阻害要因について検討し,広範囲の脳幹部病変,四肢麻痺,体幹バランス障害,非麻痺側の失調を有するものはリハ成績不良で,歩行やADLが自立したものは無いと報告している1).また小野木らは,脳幹部病変患者の症状,リハビリテーションの効果を検討し,眼症状を伴う症例ではADLの監視が必要であり,片側失調の症例では自立項目が多いが,両側失調と四肢麻痺の症例では障害が重度であり,介護量の軽減が主となったと報告している2).
このような多彩で重複している障害像を理解し,理学療法における治療戦略の立案を行うためには神経生理学,神経心理学,認知神経科学といった脳科学の知見と運動学,運動力学,工学,福祉工学といった医学と隣接領域の学問の統合と理解が必要であることは自明のことと考えられる.
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