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特別寄稿
中華人民共和国における理学療法と作業療法―現状と課題
著者: 紀樹栄1 劉建軍1 常冬梅1 願越1 張琦1 陳立嘉1
所属機関: 1中国リハビリテーション研究センター
ページ範囲:P.277 - P.283
文献購入ページに移動リハビリテーション医学という新しい理念が中国国内に導入されたのは1982年であり,以後,日常の医療のなかに理学療法,作業療法などのリハビリテーション治療技術が取り入れられるようになった1).そして1989年,中華人民共和国衛生部は「総合病院の規模別管理基準」を発表し,更に1996年には,「総合病院リハビリテーション医学科の管理規範」を示し,異なるレベルの病院に対して,それぞれ具体的に規則を設けて,リハビリテーション科の方向づけを図った.衛生部の規則によると,高級病院のリハビリテーション科には2名の専門セラピストが,三級病院には4名の専門セラピストが配置されることとなった2,25).
中国では,社会の発展,科学の進歩と人民の生活水準の向上にともない,人々の平均寿命は著しく伸びている一方,高齢社会を背景として老年病をめぐる問題が顕著になっている.リハビリテーション医学・医療に対するニーズも増大し,疾患による機能障害と能力障害を最低限に抑えることが大きな課題となっている.この課題に応えるため,政府はリハビリテーション医療に技術的・経済的援助を行い,この10数年の間に各省,市,県の病院に相次いでリハビリテーション科を設置,一部の医学校にリハビリテーション医学講座を開設したり,WHOの協力を得て,リハビリテーションに関する研修会を開いて多くのセラピストを養成してきた.また今日では,老人医療の専門家をリーダーとして,多くの青壮年が参加するリハビリテーション専門チームが作られるまでになっている2).
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