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特集 高齢者の転倒
地域保健センターにおける転倒予防教室への取り組み―行動分析学的アプローチとその効果
著者: 岡崎大資1 宮口英樹2 甲田宗嗣1 寄光静3 宇根久美子3 川村博文1 鶴見隆正1
所属機関: 1広島県立保健福祉大学理学療法学科 2広島県立保健福祉大学作業療法学科 3三原市役所民生部総合福祉健康センター
ページ範囲:P.329 - P.336
文献購入ページに移動1)ADL QOL低下の防止のために
人間の身体機能が加齢に伴い低下することは,すでに種々の報告がなされている1~3).このため高齢者は低下した身体機能・能力の多くを日常生活に動員しなければならない状況にあるだろう.このような状態で脳血管障害や骨折などによる身体機能を著しく低下させる障害を有してしまうと,本人にとってのADLに大きな支障を与えてしまうことはいうまでもない.また,転倒によって生じる可能性の高い,大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折などは,治癒過程にもよるが,高齢者にとって寝たきり生活や痴呆へのレールが敷かれる可能性さえ秘めている4).さらに,受傷者本人のADLやQOLの低下に伴い,その家族や介護者の介護負担の増加に伴うQOLの低下を引き起こす可能性をも有している.このことからも高齢者の転倒による骨折を防ぐ手段としての転倒予防事業の意義は大きいことは明らかである.
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