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プログレス
近赤外線分光法(near infrared spectroscopy,NIRS)の臨床応用
著者: 木村美子1 長尾洋子1 吉本奈美1 舌間秀雄1 大峯三郎1 蜂須賀研二2
所属機関: 1産業医科大学病院リハビリテーション部 2産業医科大学病院リハビリテーション医学教室
ページ範囲:P.371 - P.372
文献購入ページに移動可視光(波長400~700nm,ナノメータ10-8m)は生体組織をほとんど透過しないが,近赤外光(700~2000nm)は5cm程度の組織を透過することができる1).さらに酸化ヘモグロビン・ミオグロビンと還元ヘモグロビン・ミオグロビンでは近赤外線の吸収が異なるという特性を有している.803nmより短波長では還元ヘモグロビン・ミオグロビンによる吸収が増加し,それよりも長波長では酸化ヘモグロビン・ミオグロビンによる吸収度が増す.
近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy,NIRS)は,このように生体に波長の異なる2種類(機種によっては3種類)の近赤外線を照射し,組織内の酸素動態の変化を非侵襲的および連続的に測定しようとするものである.この原理を最初に用いたのはJobsisらであり,ネコやヒトの頭部に近赤外光を照射し,呼吸の状態でその透光量が変化することを報告した2).現在では脳における酸素代謝だけでなく,骨格筋における運動時の酸素動態の測定などにも広く用いられている.今回はこのNIRSの活用法や問題点などについてわかりやすく解説する.
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