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特集 低出生体重児の理学療法
低出生体重児に対するポジショニングと環境
著者: 木原秀樹1
所属機関: 1長野県立こども病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.411 - P.418
文献購入ページに移動はじめに
わが国では,1950年代以降,社会経済状態の安定とともに,保健・医療水準の向上が図られ,近年の新生児・周産期医療の発展により,新生児死亡率(出生1,000対)は,1970年の8.7から1997年には1.9まで低下した.当院でも超低出生体重児(1,000g未満)の死亡率は2.7%(2001年)であり,わが国は1970年以来,世界一の新生児医療水準を維持している1).また,総出生数が著しく減少するなかで,低出生体重児の出生数は増加傾向にある.1997年において総出生数に対し,低出生体重児(2,500g未満)は7.9%,極低出生体重児(1,500g未満)は0.60%,超低出生体重児(1,000g未満)は0.22%の出生があり1),総出生数の約1%,100人に1人の新生児は低出生体重児として新生児集中治療室(NICU:neonatal intensive care unit)への入院を経験する時代になっている.
低出生体重児は神経系の発達が未成熟なため,ストレス応答能力が低いことが指摘され2),その状態は児の発達や呼吸循環調整に影響することが示唆されている,医療技術の著しい進歩による救命と引き換えに,医療環境は生育に適した状態からかけ離れ,NICUは児に対しとても快適とはいえない場となった.ポジショニングを中心に,NICUの環境が低出生体重児に与える影響について考える.
わが国では,1950年代以降,社会経済状態の安定とともに,保健・医療水準の向上が図られ,近年の新生児・周産期医療の発展により,新生児死亡率(出生1,000対)は,1970年の8.7から1997年には1.9まで低下した.当院でも超低出生体重児(1,000g未満)の死亡率は2.7%(2001年)であり,わが国は1970年以来,世界一の新生児医療水準を維持している1).また,総出生数が著しく減少するなかで,低出生体重児の出生数は増加傾向にある.1997年において総出生数に対し,低出生体重児(2,500g未満)は7.9%,極低出生体重児(1,500g未満)は0.60%,超低出生体重児(1,000g未満)は0.22%の出生があり1),総出生数の約1%,100人に1人の新生児は低出生体重児として新生児集中治療室(NICU:neonatal intensive care unit)への入院を経験する時代になっている.
低出生体重児は神経系の発達が未成熟なため,ストレス応答能力が低いことが指摘され2),その状態は児の発達や呼吸循環調整に影響することが示唆されている,医療技術の著しい進歩による救命と引き換えに,医療環境は生育に適した状態からかけ離れ,NICUは児に対しとても快適とはいえない場となった.ポジショニングを中心に,NICUの環境が低出生体重児に与える影響について考える.
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