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文献概要
特集 ファシリテーションは今
成人中枢疾患とファシリテーション―ボバース概念を中心に
著者: 大橋知行1
所属機関: 1ボバース記念病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.572 - P.578
文献購入ページに移動 ファシリテーション・テクニックの意義と課題
運動障害に対する伝統的な治療の方法は,困難となった運動そのものを繰り返し練習すること,その基礎として筋力を増強すること,関節可動域を改善すること,および物理療法的手段を用いることであった.これに対して,ファシリテーション・テクニックは,姿勢や運動を制御している神経系の働きそのものにアプローチすることを目指した.しかし,この神経生理学的知見を踏まえた様々な試みは,基礎的研究からその理論的根拠が生み出されたというより,むしろ実践的効果からその理論的背景を推察していた面が強かった.この意味で,ファシリテーション・テクニックは,実践的であり,臨床現場において利用者の運動障害に対して一定の成果を上げることができたが,本当に運動障害の起因となる神経系の損傷に対して解剖学的,神経生理学的に意味のある変化を作り出せているのか,その科学的根拠は解明されていないのが実情である.
また,ファシリテーション・テクニックがリハビリテーションの面からみて,利用者の運動機能や「生活の質」のレベルで本当に価値のある援助につながっているか,また運動学習の面かちみて最も効率的な手段であるかということも問われている.
運動障害に対する伝統的な治療の方法は,困難となった運動そのものを繰り返し練習すること,その基礎として筋力を増強すること,関節可動域を改善すること,および物理療法的手段を用いることであった.これに対して,ファシリテーション・テクニックは,姿勢や運動を制御している神経系の働きそのものにアプローチすることを目指した.しかし,この神経生理学的知見を踏まえた様々な試みは,基礎的研究からその理論的根拠が生み出されたというより,むしろ実践的効果からその理論的背景を推察していた面が強かった.この意味で,ファシリテーション・テクニックは,実践的であり,臨床現場において利用者の運動障害に対して一定の成果を上げることができたが,本当に運動障害の起因となる神経系の損傷に対して解剖学的,神経生理学的に意味のある変化を作り出せているのか,その科学的根拠は解明されていないのが実情である.
また,ファシリテーション・テクニックがリハビリテーションの面からみて,利用者の運動機能や「生活の質」のレベルで本当に価値のある援助につながっているか,また運動学習の面かちみて最も効率的な手段であるかということも問われている.
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