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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻1号

2003年01月発行

文献概要

入門講座 理学療法ワンポイントアドバイス➊

意識障害

著者: 前田秀博1 八並光信2 高橋友理子2 丸田和夫3

所属機関: 1近森病院理学療法科 2慶應義塾大学病院リハビリテーション科 3まるた老年リハビリ研究所

ページ範囲:P.35 - P.44

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 「意識」という言葉の意味はとても広く,哲学,心理学的な要素をも含んでいる.医学分野における「意識」の最も基本的な意味は,個体が外界に対して注意を向け,対象を認知し,それに対して応答しうる状態と説明されている1).対極にあるものとしては,生理的な睡眠と疾患による意識消失があり,その中間に意識障害がある.意識の中枢としては,脳幹網様体賦活系と視床下部が大きく関与しており,上行性脳幹網様体賦活系と視床下部賦活系からのインパルスが視床を経由して大脳皮質の活動を維持・調節することで,意識の清明さが保たれている(図1)2).したがって,これらの経路や機能がなんらかの原因で障害されたときに意識障害が発現する.意識障害とは外界からの刺激に対する応答が低下した状態をいうが,当然ながら生理的睡眠との鑑別が前提となる.また意識される範囲は意識野と呼ばれ,基本的には意識野の明るさ(清明度)で意識障害の程度が表現される.

意識障害の分類

 通常,われわれが捉える意識障害は,混濁(意識の清明度の障害)と変容(意識の方向性の変化)に大別される3).つまり意識野が暗くなれば混濁,注意が意識野の中心に集中せず他の方向に向き,他の精神現象も加わった状態が変容と表現され,混濁は単純な意識障害,変容は複雑な意識障害に分類されている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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