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―奈良 勲(編集),大成淨志・川口浩太郎(編集協力)―「理学療法士のための運動処方マニュアル」 フリーアクセス
著者: 乾公美1
所属機関: 1札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
ページ範囲:P.72 - P.72
文献購入ページに移動本書は,序,実地編,基本編に分けて書かれているが,実地編に大部分の頁が割かれている.まず序では,「運動の功罪」と題し,生活習慣病と医療費の増大,生活習慣病に対する運動の効果,中高年の運動中の事故とその対処について述べ,本書を執筆した意図を明らかにしている.実地編では,第1章で「健常者に対する健康維持増進のための運動処方」について記述されており,中高年者や女性の生理学的な特徴と運動処方の留意点について書かれている.特に妊婦の運動処方の項は興味深い.第2章では,肥満者の減量のための運動処方,糖尿病患者,高脂血症,高尿酸血症,高血圧症,虚血性心疾患,その他の心疾患,呼吸器疾患,腎疾患,肝疾患,片麻痺患者に対する運動処方が其々の疾病の定義,病態,治療,運動処方の有効性,適応と禁忌,運動処方の実際,留意点について記載されている.基本編では,第1章で「運動処方の運動生理学的基礎」について,第2章で「運動処方総論」について述べている.通常,総論的な事項が前に置かれるが,各論の後に総論を置いた点に著者らの企図を感じる.
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