icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻11号

2003年11月発行

文献概要

原著

ウェーブレット変換を用いた前十字靱帯再建術後患者のピークトルク発揮時の筋電図周波数解析

著者: 山田英司1 加藤浩2 田中聡1 森田伸1 田仲勝一1 宮本賢作3 辻伸太郎4 真柴賛3 五味徳之3 森諭史3 乗松尋道3

所属機関: 1香川医科大学医学部附属病院リハビリテーション部 2吉備国際大学保健科学部理学療法学科 3香川医科大学整形外科 4香川県立白鳥病院整形外科

ページ範囲:P.999 - P.1004

文献購入ページに移動
 前十字靱帯(anterior cruciate ligament:以下ACL)再建術後のリハビリテーションにおいて,大腿四頭筋の筋力低下は重要な問題の一つである.筋力は筋の断面積に比例するといわれており1),ACL再建術後の筋力に関する多くの研究では,筋萎縮と筋力の関係,すなわち筋の形態学的な視点から検討が行われてきた2,3).再建術後の大腿四頭筋筋力はスポーツ復帰後も低下しているという報告が多く4,5),内側広筋を中心とした大腿四頭筋の筋萎縮が再建術後の筋力低下の原因の一つであると考えられている.

 近年,活動性の減少による筋力低下は筋萎縮のみでなく神経系の機能低下も影響を及ぼしていることが明らかにされてきている.Suzukiら6)は10日から20日間のベッドレストによって生じた筋力低下の割合は,筋量が減少する割合以上に生じていたと報告している.また,金子ら7)はACL再建術後4か月の時点では,大腿四頭筋筋力と大腿周径との間に比例関係が成り立っていないことを報告しており,筋の形態学的変化のみでなく神経系の機能の変化も考慮する必要があると考えられる.臨床においては,逆に筋萎縮が残存しているにもかかわらず筋力の左右差をほとんど認めない,すなわち筋萎縮の程度と筋力が解離した症例も認められ,正常筋と比較すると再建術後の筋では,神経・筋機能が変化し,運動単位の動員様式や発火頻度などの活動様式が異なっていると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?