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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻12号

2003年12月発行

文献概要

1ページ講座 理学療法用語~正しい意味がわかりますか?

覚醒水準

著者: 吉尾雅春1

所属機関: 1札幌医科大学保健医療学部理学療法学科

ページ範囲:P.1067 - P.1067

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 覚醒とは生体が次第に目覚め,活発化する状態に移行していく反応系である.覚醒は睡眠と相対する概念であり,目覚めている状態あるいは目覚めることをいう.睡眠から興奮に至る覚醒の程度を覚醒水準というが,それははっきり目覚めた状態であり,意識が清明で条件が許せば,自分の意思に従って外界へ働きかける行動が可能な状態である.このとき中枢神経系は,最も統合された水準の高い活動状態にあると言える.ただし,各個体の覚醒状態は一律ではなく,また一個体の中でも反応系によって覚醒度に差がある.

 意識の清明さは,覚醒していて,自己の内外の状況を認識し,刺激に対して適切に反応するそれらの程度で示される.覚醒水準を保つには上行性網様体賦活系による大脳皮質の賦活が必要であり,自己の内外の状況認識と,それら環境に対する適切な反応には大脳皮質の正常な働きが必要である.意識障害とはこれらの機能障害によって,表1,2のように環境からの刺激に対する反応が低下したり,または失われた病的な状態で,覚醒できないか,覚醒が不十分な状態をいう.睡眠の場合は網様体賦活系の働きは低下し,意識は失われている状態であるが,刺激によって容易に覚醒できる可逆的な生理現象であって,病的な意識障害とは異なる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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