文献詳細
文献概要
入門講座 活動向上に生かす動作分析➏
変形性関節症患者の動作分析
著者: 酒井孝文1 高橋昭彦1 中村春基1 津村暢宏1 司馬良一1
所属機関: 1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.1071 - P.1077
文献購入ページに移動本疾患に対する治療は,観血的療法と保存的療法とに大別される.保存的療法には薬物療法,装具療法,物理療法,運動療法などが挙げられ,変形性関節症の進行を阻止するうえで重要な役割を担っている.観血的療法には骨切り術,人工関節置換術などがあり,特に人工関節置換術は疼痛の緩和,変形関節の矯正が得られ概ね良好な治療成績が報告されている1,2).その一方で当術式の対象者の多くが高齢であることから,外科的操作によって急激に引き起こされた関節形態の変化に対応できないでいる症例も少なくない3).術直後は挿入されたインプラントが不安定な状態にあり,脱臼や深部静脈血栓症に代表される合併症発生の予防などリスク管理が重要な時期である4)と同時に,この時期患者は,疼痛回避を最優先させて運動を遂行しようとするため,代償的な運動が出現しやすい時期でもある5).そのため,短縮化される傾向にある在院期間中において徹底されたリスク管理を行うとともに,理学療法士にとっては,いかに的確な動作指導を提供できるかが重要な課題である.
掲載誌情報