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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻2号

2003年02月発行

文献概要

プログレス

骨粗鬆症治療の進歩―骨代謝の制御と骨折の予防

著者: 中村利孝1

所属機関: 1産業医科大学整形外科

ページ範囲:P.144 - P.147

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 骨粗鬆症は骨の強度が低下して,骨折しやすくなった状態である.最近,骨の代謝を制御することにより骨粗鬆症の骨折を防止できるようになってきた.

骨粗鬆症の原因と骨代謝異常

1.原因の多様性

 閉経期以後の高齢女性に多く見られる骨粗鬆症は,1941年Albrightらによりエストロゲン欠乏が原因とされた1).その後,骨粗鬆症は男女ともに見られ2),加齢現象によるもので治療は不可能だろうという考えが有力となった.1980年代に入り,骨粗鬆症にはカルシウム,ビタミンD摂取の不足,性ホルモンの欠乏,運動性の低下などによる骨代謝異常が複合的に作用していることが明らかになり,これらの不足を補えば骨粗鬆症は予防できる可能性が指摘されるようになった.さらに,1990年代に入り,アレンドロネート,リセドロネート,ラロキシフェンなどの骨代謝調節剤を使用した大規模臨床試験により,骨粗鬆症の骨折は防止できることが明らかになった3).現在では,骨粗鬆症は治癒する可能性もある疾患といえよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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