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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 理学療法教育施設の自己点検・評価

大学院における自己点検・評価―理学療法学教育・研究をいかに展開するか

著者: 乾公美1

所属機関: 1札幌医科大学保健医療学部理学療法学科

ページ範囲:P.300 - P.305

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 理学療法士の教育は,1990年代に大きく様変わりしてきた.すなわち,1992年の広島大学医学部保健学科理学療法学専攻科(以下,広島大学)の開学を皮切りに4年制大学での教育が始まり,これまで短期大学であった養成校の大学化が進み,また地方自治体の理学療法士を含む保健医療従事者養成のための大学が次々と設立された.1996年に広島大学が大学院医学系研究科を設置し,待望の理学療法学の高等教育機関における教育・研究が始まった.一方で,規制緩和に伴い専門学校の設置が相次ぎ,理学療法教育の2極化が顕著になった.しかし,文部科学省は平成3年に「大学が単位を与えることのできる学修」に関する通達を発し,また専門課程の総授業時間数が1,700時間を超える短期大学や専修学校卒業生に,大学への編入学や大学院入学の道を拓いた(平成10年8月14日,文部省告示第125号).

 大学院の使命は,「学問の自由」の精神に基づき,学理の真理を教授・研究し,社会の発展・人類の繁栄に貢献することにある.高度教育研究機関である大学院は,それぞれの専門分野における研究能力を有する人材の養成や,社会において指導的役割を担いうる高度な専門知識や能力を有した人材を養成するという重責を負っている.これまでの大学院は,将来大学の教員や研究所の研究員を志す者に必要な高度な研究の力を付与するための教育機関として位置付けられていた.しかし現在では,高度な専門性を有する職業に必須な専門能力や,その分野に関する研究能力に長けた者を養成する機関としての役割や,職務上の必要性からあるいは自己研鑽を求める人達の生涯学習を支援する役割も課されている.一方で大学院には国際的水準あるいはそれ以上の教育や研究が求められ,グローバルな貢献が期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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