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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻5号

2003年05月発行

文献概要

特集 こどもの理学療法

知的障害児の理学療法

著者: 押木利英子1

所属機関: 1新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科

ページ範囲:P.377 - P.385

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 知的障害児を定義することは容易ではない.まして知的障害児の理学療法と問われて想起するものは誰もが同義ではないと思われる.本稿では,精神遅滞の定義やその変遷を踏まえたうえで,運動発達遅滞を伴う精神遅滞児を理学療法の対象としての知的障害児とし,精神遅滞の定義,病因,評価,療育活動,運動発達理学療法の実際について述べる.

精神遅滞の定義

 知的障害を規定するものに精神遅滞がある.精神遅滞の定義は,WHO,イギリス精神衛生法,アメリカ精神遅滞学会(The American Association on Mental Deficiency;AAMD),日本の学校教育法,心身障害者対策基本法などでそれぞれの運用目的に合わせて定めているが,一致したものは見当たらない.例えば,AAMDによれば「精神遅滞とは,一般的知的機能が明らかに平均よりも低く,同時に適応行動における障害を伴う状態で,それが発達期に現れるもの」と定められている.しかし,「明らかに平均よりも低く」という知能の測定方法,「適応行動における障害」という適応行動の評価法や「発達期」をいつまでとするかなど諸説あり,統一は難しい.ただし,定義のほとんどが知的機能,知的能力,社会適応性などを指標とした発達を精神発達としている.そして,精神遅滞を持つこどもの精神発達は生涯を通じて固定しているものではなく,流動的でかなりの幅があり,変化しうるものという共通概念がある.この概念に基づいて教育的,療育的,医学的介入が試みられているのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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