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ひろば
転倒予防教室について
著者: 大渕修一1
所属機関: 1(財)東京都老人総合研究所 介護予防緊急対策室
ページ範囲:P.424 - P.424
文献購入ページに移動転倒と身体機能の関係はよく知られている.体力が落ちると転びやすくなるということがほぼ定説となっている.しかし,それは本当であろうか.アメリカのTinettiら1)は転倒を経験した高齢者の約3割はなんらかの活動低下を起こすと報告している.とすると,転倒によって体力が落ちるとも考えられ,鶏卵論争ではないが,どちらがどのように影響を与えているのか因果関係がはっきりしなくては,適切な予防の方略を見つけることはできない.こうした観点からこれまでの転倒研究を精査すると,前年度の転倒経験などが主要な要因であり,その他の身体機能はそれほど明確な因果関係を持たないことがわかる.特に,この傾向は健康度の高い地域在住高齢者を対象とする場合に強い.結論として,体力が低下することによって引き起こされる転倒もあるだろうが,多くは転倒によって体力が低下すると考えられ,転倒後のフォローアップが転倒予防の鍵になることが示唆される.
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