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特集 物理療法の効果
変形性膝関節症に対する広帯域多重複合波治療の臨床的効果
著者: 銭田良博1 鈴木重行2
所属機関: 1医療法人昌峰会加藤病院リハビリテーション科 2名古屋大学医学部保健学科
ページ範囲:P.555 - P.558
文献購入ページに移動広帯域多重複合波
広帯域多重複合波とは,1.1kHz~1.6kHzのランダムに変化する中周波刺激を用い,併せて0.5~10Hzの低頻度刺激を重畳させている両側性の非対称性矩形波である.下地ら2)は,広帯域多重複合波の疼痛緩和効果を,他の通電治療器の波形上の特徴から比較した(表1).その結果,一般の鍼刺激独特の持つビリビリという刺激感が少なく,他の治療器より除痛効果が得られたと報告している.その考察として,500Hz以上の刺激周波数になるとシナプスの不応期に入るために情報伝達のブロックが生ずる可能性があり,疼痛閾値が上昇するかもしれないことが推定された.また,0.5~10Hzの低頻度刺激が重畳することは,得気に類似した陰極刺激や低周波領域により生じている除痛効果もあることが考えられた.平野ら3)は,肩関節周囲炎に対する広帯域多重複合波通電の効果を通電群とプラセボ群に分け,筋力,可動域,VASを指標に検討した.その結果,筋力変化は認められなかったものの,可動域拡大と疼痛軽減に効果が認められたと報告している.
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