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特集 脳卒中の理学療法の展開
脳卒中に対する治療的電気刺激
著者: 加茂野有徳1 村岡慶裕2
所属機関: 1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター 2慶應義塾大学理工学部生命情報学科
ページ範囲:P.667 - P.674
文献購入ページに移動脳卒中片麻痺に対する電気刺激療法は,古くから物理療法の一環として他の理学療法と併用して行われてきた1).電気刺激療法には,大きく分けて,機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES),治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation;TES),経皮電気的神経刺激(transcutaneous electrical nerve stimula-tion:TENS)などがある.FESは,低周波の電気刺激を用いて主に中枢神経障害の患者の上・下肢の運動機能(立位,歩行,把持など)や排尿機能を再建し,電気刺激使用時において患者の基本動作能力の回復を目指すものである2,3).それに対し,TESはFESと同様の低周波の電気刺激を用いるが,電気刺激を継続的に与えて筋萎縮の予防改善,筋力増強,痙性の抑制,運動の随意性向上などを図ることがその目的となる.TENSは高周波の電気刺激により鎮痛効果を図る目的で行われることが多い4).
本稿では,脳卒中片麻痺に対するTESについて,臨床での処方およびその効果について概説するとともに,当センターにおいてわれわれの開発した新しい電気刺激法についても述べ,その効果について歩行時の使用を中心に考察する.
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