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プログレス
運動学習と大脳半球機能
著者: 清水忍1
所属機関: 1北里大学医療衛生学部理学療法学専攻
ページ範囲:P.701 - P.703
文献購入ページに移動 われわれ理学療法士が目標としているのは,対象者の運動技能や行為の(再)獲得であり,運動学習そのものと捉えられる.学習に関する研究は,主に心理学分野を中心に行動研究によって行われてきたが,脳の内部でどのような変化が生じているかについてはほとんど不明確のままであった.しかし,近年の神経科学の進歩に伴い,運動学習によって生じる脳内変化が解明されるにつれ,脳損傷後のリハビリテーション,すなわち,運動や行為の再学習による運動能力の向上と脳の再構成との関係が少しずつ明らかになってきている.そこで,本稿では,最近の研究をもとに運動学習やリハビリテーションと大脳半球機能との関係を中心に述べる.
運動学習における脳内変化
学習や記憶が成立する背景には神経学的な変化があり,その基礎は神経細胞間の接合部分であるシナプスの可塑性によって生じると考えられている1).このシナプスの可塑性は,シナプス前末端から出る伝達物質の量の増加,シナプス後膜にある受容体数の増加やその感受性の増加,樹状突起の形態的な変化など(図)によってシナプス効率が変化して生じることが知られている2,3).運動の学習や記憶の基礎を成すと考えられている運動皮質ニューロンの長期増強(LTP4)はその代表的な例と思われる.
運動学習における脳内変化
学習や記憶が成立する背景には神経学的な変化があり,その基礎は神経細胞間の接合部分であるシナプスの可塑性によって生じると考えられている1).このシナプスの可塑性は,シナプス前末端から出る伝達物質の量の増加,シナプス後膜にある受容体数の増加やその感受性の増加,樹状突起の形態的な変化など(図)によってシナプス効率が変化して生じることが知られている2,3).運動の学習や記憶の基礎を成すと考えられている運動皮質ニューロンの長期増強(LTP4)はその代表的な例と思われる.
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