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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル37巻9号

2003年09月発行

文献概要

とびら

理学療法(士)の時代

著者: 金子操1

所属機関: 1自治医科大学附属病院リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.735 - P.735

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 私が理学療法士の道を歩み始めたのは1966年,第1回目の理学療法士・作業療法士国家試験が行われ,日本に理学療法士という職種が生まれてから12年経過した1978年である.当時は全国の会員数も2,000人に満たないほどで,栃木県の会員数も30人弱であったと記憶している.世間一般(医療界も含めて)にはまだまだ「リハビリテーション」も「理学療法」も「PT」と言う言葉も普及しておらず,患者さんには「マッサージの先生」と呼ばれていた時代である.理学療法に燃えていた私は必死で「マッサージ」ではなく「リハビリ」です,と出会う人,患者さんごとに説明したが浸透はしなかった.数年後TV・新聞などで電波や活字に「リハビリテーション」という言葉が頻繁に用いられるようになり「マッサージの先生」から「リハビリの先生」に変わった.改めてメディアの力を痛感させられた思いであった.

 最近,一般の方がリハビリを後ろに付けた言葉を使う風潮がある.例えば,「頭のリハビリ」「心のリハビリ」「手のリハビリ」などである.意味合いは別として,語呂がよいので私自身もつい使ってしまう.機能回復をリハビリと同意と理解して使っているようである.患者さんにしてみれば,自分の体や機能を治してくれる人は皆「リハビリの先生」ということになり,PTでもOTでもマッサージ師でも無資格の医療従事者でもよいのである.このような状況をみていると,理学療法も理学療法士も社会的には十分に認知されていないという現実を実感させられる.リハビリテーションの一翼を担っているにしても,なにか寂しい憂鬱と,理学療法(士)の普及・啓発を積極的に展開しなければ,明日はないという思いに苛まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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