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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル38巻1号

2004年01月発行

文献概要

特集 整形外科疾患に対する徒手的運動療法

腰痛症に対する徒手的運動療法

著者: 板場英行1

所属機関: 1高知医療学院

ページ範囲:P.39 - P.47

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 腰痛はヒトが四足動物から二足動物に進化したために起こった運命的な疾患であり,成人の約80%が罹患,経験するとされる1).医療費はもとより腰痛による離職のための経済的な損失も多大である.腰痛は疾患や病気に起因するもののほか,身体的要因,心理的要因などが加担する.また,腰椎構成組織の反応変化に基づいた機能障害として発現する.単一組織障害による軽度の腰痛は自然治癒する確立が高く,医学的治療を受けることなく緩解する2).しかし,日常生活における腰部屈曲の頻度や不良姿勢の持続などで,力学的ストレスが腰椎の侵害受容器を刺激し易再発性の悪循環を形成する(図1).初期の段階で適切な治療,患者指導を怠ると,病変の進行や再発の繰り返しにより重症化へ進展する3).理学療法では,腰痛の悪循環を遮断することとともに,再発予防への対応が重要である.本稿では,腰痛症に対する徒手的運動療法を施行するうえでの基本的な考え方と治療手技を述べる.

腰痛の評価

 腰痛の発症には原因となる組織病変を基盤として,加齢,運動不足,不良姿勢の継続,日常生活上の不注意,感情的緊張など種々の付加因子がかかわる4).腰痛症の理学療法評価では,腰椎部の機能評価にとどまらず周辺組織,関節の状態を含め,身体面,心理面など包括的に行うことが大切である.また,椎間板起因,椎間関節起因,筋肉起因など,疼痛発現の原因を臨床症状評価を通してその優位性を推測し,治療目的と手技を決定する(図2).Mckenzie5)は,CT,MRIなどの画像診断と臨床症状はかならずしも一致しないことが多く,治療者自身による臨床的評価の重要性を強調している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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