特集 診療報酬
理学療法の診療報酬の課題―技術料からみた理学療法
著者:
両角昌実1
日下隆一2
所属機関:
1藤リハビリテーション学院
2兵庫県立柏原病院
ページ範囲:P.821 - P.827
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2002年診療報酬改定では,受診抑制対策の強い煽りを受けた理学療法部門において,複雑なもの・簡単なものといった運動療法から個別・集団療法に変更されるとともに,算定回数制限が設けられた.2004年診療報酬改定においては,肺機能訓練が算定可能になったことや逓減算定の一部緩和,亜急性期入院医療管理料の新設などが行われたが,理学療法の所定点数には,ほとんど変化が見られなかった.これらは,従来の診療報酬体系の継続であり,医療費の財源不足を強調したものであるといえる.また,技術料評価に対する考え方が極めて希薄であることを示唆するものでもある.医療先進国の米国と医療従事者の収入を比較すると,米国:日本=100:73であり,約30%日本のほうが下回る1)との報告もある.その原因は,保険制度の違いが主たるものと考えられるが,技術料評価,勤務形態,医療訴訟対策の違いがその根底にあると思われる.
そこで,米国における保険制度の特徴を把握したうえで,現在メディケア・パートBに導入されている医療資源準拠相対評価点数(Resources BasedRelative Value Scale:以下RBRVS)によるドクターフィーの詳細から日本における理学療法部門に該当する項目を抜き出し,理学療法技術料に基づく診療報酬の算定を試みるとともに,これら技術料評価による理学療法料の導入を主張する要件についても考察することとした.