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特集 認知運動療法の適応と限界
全身性エリテマトーデスに片麻痺を合併した症例に対する認知運動療法
著者: 石原崇史1 信迫悟志1 鳩代浩之1
所属機関: 1大津赤十字志賀病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.935 - P.940
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30歳,女性.平成15年6月12日,胃腸炎にて他院入院中,めまいと右半身のしびれ感,脱力を自覚し,歩行障害も出現した.頭部MRI(磁気共鳴画像)の結果,明らかな病変はみられなかったが,同日には右片麻痺が出現していた.脳スペクトの結果では血流の低下が認められたことなどから,中枢神経系ループスと診断された.SLEに対する急性期治療により全身状態が落ち着いたため,リハビリテーション目的で平成15年8月25日当院に転院した.転院時の運動機能テストの結果は,上肢Brunnstrom Stage(以下BRS);Ⅴ,下肢BRS;Ⅲであった.足部のクローヌスは簡単・著明に出現していた.車椅子への移乗は自立,平行棒の中での歩行は可能であったが,その歩容をみると麻痺側のtoe offは全くみられず,骨盤を挙上・前方回旋させて,足部を外側へ振り回していた(図1).ときには,足部を床に引っ掛けたり,過度な足部の内反で着地するため足部に痛みを引き起こした.右下肢全体,特に足部にしびれ感を訴えており,感覚障害は強く,足部において特に重度であった.右下肢の感覚障害や足クローヌスは今回の右片麻痺出現よりも以前に存在しており,チアノーゼやしびれ感などが足部,特に足指にみられていた.
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