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特集 物理療法の鎮痛作用
極超短波治療の鎮痛作用と環境に及ぼす影響―電波防護指針とEMC法制化による物理療法機器への影響について
著者: 岡崎大資1 川村博文1 辻下守弘1 甲田宗嗣1 鶴見隆正2
所属機関: 1広島県立保健福祉大学保健福祉学部理学療法学科 2神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科
ページ範囲:P.159 - P.166
文献購入ページに移動近年,携帯電話やコンピュータなどによるIT技術の躍進と急激な普及に伴い,日常生活においてわれわれは日本国内の,さらには世界中の膨大な情報を瞬時にして入手することができ,また送受信を行うことが可能となった.この情報のやり取りには人間の感覚によって知覚することのできない「電波」が深く関与している.これらの電波は人体に非常に近い位置で人工電磁場環境を形成しており,近年われわれは日常生活で人工電磁場環境に曝される機会が増加してきた.
また,われわれは物理療法場面における温熱療法の一つとして,エネルギー変換熱を用いた極超短波治療器や超短波治療器を簡易にかつ効果的に用いることが可能であり,それらはその温熱効果に伴う鎮痛作用や種々の適応などから高頻度に使用されている.これらの機器もまた,人体を人工電磁場環境に曝すことによって効果的に温熱刺激,鎮痛作用を得ることができるというものである.われわれは,これらの機器を使用する際に少し視点を広げ考慮しなければならないこととして,極超短波治療器や超短波治療器の温熱効果のみに注目するのではなく,それら機器の近傍では機器を治療目的に使用する対象者以外の環境においても少なからず漏洩した電磁波によって電磁場環境が形成されていることを理解し,その存在を無視してはならないということがある.
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