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特集 理学療法モデル
理学療法モデルの構築にあたって
著者: 日下隆一1
所属機関: 1兵庫県立柏原病院
ページ範囲:P.351 - P.357
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現在,近代西洋医学(以下,近代医学),リハ領域において対極的な概念で用いられるモデル分類は多様である(表).それは,モデルが複雑な現象・事象を説明するために,特定の視点・側面からみた対象だけを概念的に単純化・簡略化して表現されるからである.したがって,モデルは,「現象を含む様々な変数の中から特定の諸変数だけを選び取り,複雑な現象を単純化して描いたものであるが,当面の関心の焦点である側面だけを選び取り,他の側面を捨象するため,その作り方は選択的であり,現象のどの側面に着目するかによって一通りではない」6)といった特性を有している.このようなモデルを表現形態から分類すると,現象を言語によって記述する言語モデル,現象を図式によって視覚的に説明する図式モデル,現象を数式で説明する数理モデルなどがあるが,理解という点からすれば図式モデルが多用されている.このようなモデル過程をモデル化(modeling)というが,モデル化によって「説明が容易になる」,「理解しやすい」という特色が生じる一方,同一の現象・事象に様々な異なったモデルが生成される可能性や異なった言葉で表現されることは避けられず,また,あまりにもモデルを精錬化すると,完成されたモデルが対象となる現象・事象から乖離する場合もある.
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