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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル38巻5号

2004年05月発行

文献概要

特集 理学療法モデル

運動器疾患領域における理学療法実践モデル

著者: 福井勉1

所属機関: 1昭和大学保健医療学部

ページ範囲:P.377 - P.383

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 運動器疾患やスポーツ外傷のうち,理学療法の特長が最も活かせるのは,変性疾患やスポーツ障害ではないだろうか.それは変性疾患やスポーツ障害は,姿勢や動作とのつながりが密接なためである.姿勢や動作に理由を見出だし,同時に姿勢や動作をアウトカムとすることが運動器疾患領域の理学療法に必要とされていることである.

 しかしながら,運動器疾患領域で考えても,わが国に共通言語で比較できるような評価基準は見当たらない.ある治療方法での卓越した方法を学ぶことでモデルを構築したつもりが,他領域では通用しない場合もある.普遍性が立証できないのである.これはなぜその治療方法を選択したのかという完全なる理由を提示できないためである.理学療法実践モデルを提示するうえで障害になるのはそのことのように思う.そのためにもEBPを確立していくことが急務であることは全く正論である.しかしながら,現実的には運動療法を主体とする治療条件を規定することは困難極まりない.さらに他の要因を取り除くために治療方法に個別性を与えないとすると,臨床家にとってその実践がほとんど不可能なことと言えないだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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