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文献抄録
健常者とパーキンソン病患者の座位からの立ち上がりにおける関節トルク
著者: 櫻井宏明1
所属機関: 1藤田保健衛生大学リハビリテーション専門学校
ページ範囲:P.420 - P.420
文献購入ページに移動 本研究の目的は,健常者とパーキンソン病患者の座位からの立ち上がりにおける下肢関節トルクを比較検討することである.対象者は,健常者6名とパーキンソン病患者7名とした.実験方法は,対象者(健常者とパーキンソン病患者)が座位から立ち上がりやすい速度で行った.その中で,頸部・股関節・膝関節・足関節の関節角度と足底部と床との間の前後分力(N)・垂直分力(N)(platform A)ならびに大腿部と椅子との間の前後分力(N)・垂直分力(N)(platform B)を評価した.
・結果と考察:Platform Aでは,パーキンソン病患者(前後分力27.3±10.8・垂直分力475.7±51.9)が健常者(前後分力47.6±12.9・垂直分力610.6±62.4)に比べ,前後分力・垂直分力において有意な低下がみられた(p<0.05).Platform Bでは,パーキンソン病患者(前後分力25.8±11.8・垂直分力17.1±18.5)が健常者(前後分力62.7±14.9・垂直分力39.0±18.9)に比べ,前後分力において有意な低下がみられた(p<0.05).各関節(頸部,股関節,膝関節,足関節)の角度範囲において,健常者とパーキンソン病患者との間に類似性がみられた.しかし,股関節屈曲の最大角度までの到達時間(秒)において,パーキンソン病患者(1.21±0.34)が健常者(0.75±0.22)に比べ有意に遅延していた(p<0.05).トルク率(単位時間あたりのトルク値)の比較では,パーキンソン病患者が健常者に比べ,股関節の屈曲・伸展,膝関節の伸展,足関節の背屈において有意な低下がみられた(p<0.05).以上のことから,パーキンソン病患者における座位からの立ち上がりの速度遅延は,股関節屈曲の関節トルクの低下と,トルク発揮するまでの時間が遅延しているためだと考えられた.
・結果と考察:Platform Aでは,パーキンソン病患者(前後分力27.3±10.8・垂直分力475.7±51.9)が健常者(前後分力47.6±12.9・垂直分力610.6±62.4)に比べ,前後分力・垂直分力において有意な低下がみられた(p<0.05).Platform Bでは,パーキンソン病患者(前後分力25.8±11.8・垂直分力17.1±18.5)が健常者(前後分力62.7±14.9・垂直分力39.0±18.9)に比べ,前後分力において有意な低下がみられた(p<0.05).各関節(頸部,股関節,膝関節,足関節)の角度範囲において,健常者とパーキンソン病患者との間に類似性がみられた.しかし,股関節屈曲の最大角度までの到達時間(秒)において,パーキンソン病患者(1.21±0.34)が健常者(0.75±0.22)に比べ有意に遅延していた(p<0.05).トルク率(単位時間あたりのトルク値)の比較では,パーキンソン病患者が健常者に比べ,股関節の屈曲・伸展,膝関節の伸展,足関節の背屈において有意な低下がみられた(p<0.05).以上のことから,パーキンソン病患者における座位からの立ち上がりの速度遅延は,股関節屈曲の関節トルクの低下と,トルク発揮するまでの時間が遅延しているためだと考えられた.
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