文献詳細
文献概要
文献抄録
前十字靱帯再建術後早期の膝痛を伴うケースでのOKCとCKC下肢伸筋抵抗運動の比較
著者: 壇順司1
所属機関: 1西日本リハビリテーション学院
ページ範囲:P.699 - P.699
文献購入ページに移動 前十字靱帯(以下ACL)再腱術後早期の膝痛を伴うケースの膝伸筋抵抗運動は,膝痛の原因が膝蓋大腿関節のストレスによると考えられているために,一般的にOKC(open kinetic chain)運動が用いられることが多い.しかし著者らは,膝・股関節に対して効果的であり,膝痛の原因が膝蓋大腿関節の圧縮ストレスではなく,膝蓋靱帯と考えているため,より実践的なCKC(closed kinetic chain)運動を行っている.本研究の目的は,ACL損傷の再腱術後早期の膝痛に対するCKC運動とOKC運動の効果の違いを明白にさせるために評価し,検討することである.
被験者は16歳~54歳(平均29歳)のACL再腱術を施行した43名(男性34名,女性9名)とした.また被験者をグループC(CKC運動群)21名とグループO(OKC運動群)22名に分類した.手術方法は,膝蓋靱帯(Bone-Patellar tendon-Bone)を使用した方法であり,被験者の条件は膝関節の他動的屈曲角度が90°であることと歩行が可能なことであった.運動方法は,OKC運動では0°~90°での等張性膝伸展動作を行わせ,CKC運動はスクワット動作を行わせた.評価は膝痛に関係する質問表と視覚的アナログスケール(VAS;visual analog scale)が用いられた.その結果,ACL再腱術後早期の膝痛は運動法の違いで有意な差(p=0.67)は認められなかった.このことは一般的にOKC運動よりCKC運動のほうが,前方膝痛が生じやすいと言われていることと矛盾する結果であった.運動方法の違いがあるにもかかわらず膝痛の出現に違いがなかったことや膝蓋大腿関節にかかる圧縮力が運動方法ではなく関節角度で変化することから,膝痛の原因が膝蓋大腿関節の接触ストレスではなく,膝蓋靱帯であることが示唆された.よって著者らはACL再腱術後早期の下肢抵抗運動法は,より実際的なCKC運動を使用する.
被験者は16歳~54歳(平均29歳)のACL再腱術を施行した43名(男性34名,女性9名)とした.また被験者をグループC(CKC運動群)21名とグループO(OKC運動群)22名に分類した.手術方法は,膝蓋靱帯(Bone-Patellar tendon-Bone)を使用した方法であり,被験者の条件は膝関節の他動的屈曲角度が90°であることと歩行が可能なことであった.運動方法は,OKC運動では0°~90°での等張性膝伸展動作を行わせ,CKC運動はスクワット動作を行わせた.評価は膝痛に関係する質問表と視覚的アナログスケール(VAS;visual analog scale)が用いられた.その結果,ACL再腱術後早期の膝痛は運動法の違いで有意な差(p=0.67)は認められなかった.このことは一般的にOKC運動よりCKC運動のほうが,前方膝痛が生じやすいと言われていることと矛盾する結果であった.運動方法の違いがあるにもかかわらず膝痛の出現に違いがなかったことや膝蓋大腿関節にかかる圧縮力が運動方法ではなく関節角度で変化することから,膝痛の原因が膝蓋大腿関節の接触ストレスではなく,膝蓋靱帯であることが示唆された.よって著者らはACL再腱術後早期の下肢抵抗運動法は,より実際的なCKC運動を使用する.
掲載誌情報