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特集 運動療法の基礎
バランス障害に対する運動療法の基礎
著者: 藤澤宏幸1
所属機関: 1東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
ページ範囲:P.733 - P.740
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1.反射階層理論(reflex-hierarchical theory)
姿勢制御における反射と中枢神経系における階層については,除脳動物の実験によって発展してきた.階層性の概念を築いたのはHughlings Jackson4)であり,その後SherringtonやMagnusによって神経生理学的な発展を遂げた5~8).生理学では除脳動物に起こる局所や全身の姿勢保持反応を姿勢反射(postural reflex)と呼び,下位の階層に伸張反射と緊張性頸反射を位置付け,それらが中位の階層に立ち直り反応やさらに高位の階層に平衡反応によって抑制・統合されると考える(図1).このように中枢神経系に複数の階層を想定し,反射・反応によって姿勢調節を説明したものが反射階層理論である.反射階層理論が発展してきた過程では,主な関心事は姿勢保持にあり,外乱に対する反射・反応に焦点が向けられたことは時代背景において必然的な流れとして理解できる.
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