icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻1号

2005年01月発行

文献概要

特集 高齢者骨折の外科的治療と理学療法

橈骨遠位端骨折

著者: 山本泰雄1 小畠昌規2

所属機関: 1西岡第一病院リハビリテーション部 2西岡第一病院整形外科

ページ範囲:P.47 - P.52

文献購入ページに移動
橈骨遠位端骨折は,高齢者の上肢骨折の中で遭遇しやすいものの一つである.多くは,徒手整復後のギプス固定による保存療法で良好な成績を得ることができる.しかし転位骨片の整復が不良な場合は疼痛や可動域制限を残すことがある.また頑固に続く手指の腫脹や拘縮,変形治癒後の尺骨遠位端周囲の疼痛,反射性交感神経性ジストロフィー(reflex sympathetic dystrophy;RSD)などの合併症により対応に苦慮する症例が少なからず存在する.Gartlandら1)は橈骨遠位端骨折の成績不良因子として背屈転位が遺残したまま治癒することを報告している.

 一般に高齢者の橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症をその基盤として発生することが多いため,骨折部の整復の維持が困難であることが多い.加えて安定型の骨折に比べ,不安定型の骨折では徒手整復による良好な整復位を得にくく,仮に整復位が得られたとしてもギプス固定中に再転位することも多いとされる2,3).このため不安定型骨折に対しては,整復位の獲得と保持のため経皮ピンニングや創外固定,内固定などの手術的治療が選択される3)

参考文献

1)Gartland JJ, et al:Evaluation of healed Colles'fractures. J Bone Joint Surg 33A:895-907, 1951
2)腰野富久,他:不安定型橈骨遠位端骨折に対するHoffmannⅡcompact創外固定器によるnon-bridging創外固定術.関節外科21:137-144,2002
3)山野慶樹,他:手の外科―高齢者の外傷の問題点―.関節外科18:22-29,1999
4)佐々木 孝:橈骨遠位端骨折の創外固定―適応と限界―.整形外科最小侵襲手術ジャーナル5:3-9,1997
5)Salter RB, et al:The biological effect of continuous passive motion on the healing of full-thickness defect in articular cartilage:an experimental investigation in the rabbit. J Bone Joint Surg 62A:1232-1251, 1980
6)田島 光:創外固定―Pennig創外固定―.関節外科15:73-80,1996
7)白井久也,他:Pennig model創外固定の応用.整形外科最小侵襲手術ジャーナル5:29-37,1997
8)上羽康夫,他:手その損傷と治療,pp398-410,金芳堂,1993
9)Kawaguchi, S, et al:Recurrent dorsal angulation of distal radius fracture during dynamic external fixation. J Hand Surg 23A:920-932, 1998
10)井上有美子,他:前腕の固定角度の違いによる日常生活動作の難易度について.理学療法学22:433-436,1995
11)志水宏行,他:前腕骨折の治療成績不良例のADL上の問題―前腕回内外制限および手関節掌背屈制限とADLとの関係―.ハンドセラピィ3,pp35-47,メディカルプレス,1994
12)加藤純代,他:保存療法が行われた橈骨遠位端骨折例の検討.北海道理学療法士会誌14:42-45,1997
13)萩野 浩:骨粗鬆症と骨折予防.総合リハ32:917-922,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら