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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻1号

2005年01月発行

文献概要

入門講座 重症患者の理学療法リスク管理・1

救急・集中治療室でのリスク管理

著者: 木村雅彦1

所属機関: 1杏林大学医学部付属病院リハビリテーション室

ページ範囲:P.69 - P.76

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テレビドラマや映画にも救急診察室(emergency room;ER)や集中治療室(intensive care unit:ICU)のシーンが多く出てくるようになっている.明らかに誇張されていたり,少し知識がある人間には疑問に思うことなども見受けられることもあるが,われわれの臨床では,どのような状態の患者さんに,どのような目的でどのような処置やモニタリングが行われているのかという視点で診てみることが重要である.特に理学療法士(PT)は機能的な改善を早期から図るべく,様々な制約を考慮した上で,関節可動域(ROM)運動や可及的な筋力強化,呼吸理学療法など,離床により合併症を予防すべく,積極的な介入に取り組む必要がある.本稿では基本的な知識を示したが,臨床では状況に応じて許容範囲も判断すべき基準や優先順位も変化する.詳細は本講座の各回や,専門の成書・論文を参照されたい.その際には理学療法にとらわれず,広く医学,看護,医用工学の領域も探索していただきたい.

感染症管理と清潔操作

 人類の歴史は,感染症との戦いの歴史とも言われる.医療では無菌状態に処理された器具や消毒された身体の部位は“清潔”とされ,それ以外のすべてである“不潔”と厳格に区別される.滅菌処理し密封されたディスポーザブル(使い捨て)の器具が多いのはこのためである.通常の生活では絶対に外気に触れることのない骨関節の外傷や手術,低免疫状態患者の管理を考えるとその重要性が理解しやすいであろう.病室に入る前の準備として,PTは基本的に(あくまでも細菌学的に)“不潔”なので,作法を知り,清潔野と自分の立ち入ってよいところ,触れてよいところ,清潔操作の手順や方法を確認することから始めよう.

参考文献

1)石川 朗:ER(救命救急室)で理学療法? ―ICUにおける理学療法.奈良 勲(編):理学療法のとらえかた―clinical reasoning,pp115-123,文光堂,2001
2)道又元裕,池亀俊美:ICUでの呼吸理学療法「する?」「しない?」.Expert Nurse 20(11):66-71,2004
3)木村雅彦,山口芳裕,島崎修次:重症患者救命後の課題―理学療法士の立場から.救急医学25:965-969,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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