文献詳細
文献概要
特集 精神障害者の理学療法
精神障害者のとらえ方と理学療法アプローチの効果
著者: 仙波浩幸1
所属機関: 1東京都立駒込病院整形外科リハビリテーション室
ページ範囲:P.947 - P.955
文献購入ページに移動人口の高齢化,事故や各種疾患により精神障害者が身体障害を合併する症例が増加しており,精神障害と身体障害の両面を視野に入れたリハビリテーション医療サービスの提供が今後ますます高まることが予想される.
身体障害を有する統合失調症患者のリハビリテーション医学領域における知識・技術の蓄積は不十分であり,精神医学とリハビリテーション医学(機能回復学),さらには関連する諸学問領域を含む複合的な研究が求められている.リハビリテーション医学では,精神障害は作業療法,身体障害は理学療法がサービスの提供を担っているが,身体障害と精神障害を合併する患者のサービスニーズが高まってきている現状では,従来の枠組みにとらわれずに治療実践に取り組む必要が生じている.このような現状において,当該患者の理学療法実践については,従来から先駆的な内容の文献が散見されるが1~11),症例報告や総説が多く,数理的裏付けが不十分なものが少なくない.
身体障害を有する統合失調症患者のリハビリテーション医学領域における知識・技術の蓄積は不十分であり,精神医学とリハビリテーション医学(機能回復学),さらには関連する諸学問領域を含む複合的な研究が求められている.リハビリテーション医学では,精神障害は作業療法,身体障害は理学療法がサービスの提供を担っているが,身体障害と精神障害を合併する患者のサービスニーズが高まってきている現状では,従来の枠組みにとらわれずに治療実践に取り組む必要が生じている.このような現状において,当該患者の理学療法実践については,従来から先駆的な内容の文献が散見されるが1~11),症例報告や総説が多く,数理的裏付けが不十分なものが少なくない.
参考文献
1)荒木 毅,他:精神障害者の身体合併症に対する理学療法について.理作療法14:166-171,1980
2)牧野 正,他:精神疾患を合併した大腿骨頸部骨折人工骨頭置換術例.Hip Joint 17:164-168,1991
3)水島繁美:精神障害と運動機能不全.総合リハ20:207-211,1992
4)高橋文夫,他:精神障害を有する脳卒中患者の理学療法.PTジャーナル27:456-461,1993
5)沼尾茲夫:都立松沢病院における合併症治療の現状と問題点2,整形外科サイドから.全自病協雑誌32:66-69,1993
6)松岡宏昭,他:精神障害者の飛び降り自殺行為による多発外傷例の検討.骨折16:83-88,1994
7)仙波浩幸:精神障害者へのリハビリテーションの問題点.岩淵正之,江畑敬介(編著):精神障害者に対する身体合併症診療の実際,pp281-290,新興医学出版社,東京,1996
8)富岡詔子(編):作業療法学全書第5巻改訂第2版,協同医書,2000
9)坂本周介:精神疾患をもつ脳卒中片麻痺患者の理学療法.PTジャーナル34:383-388,2000
10)三木 晃:自殺企図のあった患者の理学療法.PTジャーナル34:389-394,2000
11)先崎 章:精神分裂病合併例への対応.総合リハ28:1015-1020,2000
12)Crow TJ:Molecular pathology of schizopherenia:More than one disease process?. Br Med J 39:66-68, 1980
13)Liddle PF:The symptoms of choronic schizophrenia;A re-examination of the positive-negative dichotomy. Br J Psychiatry 151:145-151, 1987
14)Liddle PF, et al:Symptoms of chronic schizophrenia. Br J Psychiatry 157:558-561, 1990
15)Andreasen NC, et al:Symptoms of schizopherenia-method, meanings, and mechanisms. Arch Gen Psychiatry 52:341-351, 1995
16)Lindenmayer JP, et al:Five-Factor Model of schizophrenia. Initial validation. J Nerv Ment Dis 182:631-638, 1994
17)Kawasaki Y, et al:Evaluation and interpretation of symptom structures in patients with schizophrenia. Acta Psychiatry Scand 89:399-404, 1994
18)Lindenmayer JP, et al:Five factor model of schizophrenia:replication across samples. Schizophr Res 14:229-234, 1995
19)Kitamura T, et al:Symptoms of psychoses. A factor-analytic study. Br J Psychiatry 166:239-240, 1995
20)山科 満,他:精神分裂病の症状構造;PANSSを用いた因子分析的研究.精神医学40:951-957,1998
21)太田保之:症候学の観点から.精神経誌101:212-219,1999
22)仙波浩幸,他:精神分裂病患者の日常生活動作―FIMを用いた検討.理学療法科学17:71-75,2002
23)慶應義塾大学医学部リハビリテーション科(訳):FIM 医学的リハビリテーションのための統一データセット利用の手引き第3版.慶應義塾大学リハビリテーション科,東京,1991
24)慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室:第12回FIM講習会資料,慶應義塾大学リハビリテーション科,東京,2001
25)千野直一,他:脳卒中患者の機能評価 SIASとFIMの実際,シュプリンガー・フェアラーク東京,東京,1997
26)Granger CV, et al:The measurement of disability. In Fuhrer MJ(ed), Assessing Medical Rehabilitation Practices, PH Brookes, Baltimore, Maryland, pp103-126, 1997
27)萩生田伸子,繁桝算男:順序付きカテゴリカルデータへの因子分析の適用に関するいくつかの問題点.心理学研究67(1):1-8,1996
28)Granger CV, et al:Performance profile of the functional independence measure. Am J Phys Med Rehabil 72:84-89, 1993
29)Stineman MG, et al:Impairment-specific dimensions within the functional independence measure. Arch Phys Med Rehabil 78:636-643, 1997
30)仙波浩幸,他:理学療法時にみられる慢性精神分裂病患者の臨床症状.理学療法科学16:91-95,2001
31)Key SR, et al:Positive and negative syndrome scale(PANSS)rating manual.山田寛,他(訳):陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)マニュアル,星和書店,東京,1991
32)仙波浩幸,他:身体障害を合併する精神分裂病患者の理学療法時にみられる精神症状.日本精神神経学会誌102:1121,2000
33)仙波浩幸:精神分裂病患者の理学療法効果.理学療法学28S:63,2001
34)仙波浩幸:統合失調症患者の理学療法アウトカム.リハ医学40S:238,2004
35)Maruyama GM:Basics of Structual Equation Modeling, SAGE Publications, California, 1997
36)Randall E:A Beginner's Guide to Structual Equation Modeling, Lawrence Erlbaum Associates, New Jersey, 1996
37)Arbuckle JL, et al:Amos 4.0User's Guide, SPSS, Small Water Corporation, Chicago, 1999
38)豊田秀樹:共分散構造分析入門編,朝倉書店,1998
39)狩野 裕:グラフィカル多変量解析,現代数学社,1997
40)古谷野亘,他:生活満足度の構造.老年社会科学11:99-115,1989
41)斉藤圭介,他:在宅脳卒中患者を対象としたADL,IADL統合尺度の構成概念に関する検討.理学療法学27:237-244,2000
42)Senba H, et al:Guidelines for physical therapy in physically disabled schizophrenic patients. J Phys Ther Sci 14:15-20, 2002
43)仙波浩幸,他:身体障害を有する精神分裂病患者に対する,効果的な理学療法の実施について.平成12年度東京都病産院臨床研究報告書,pp547-551,2001
44)仙波浩幸:精神疾患患者への理学療法の関わり.理学療法20:1115-1122,2003
45)仙波浩幸:精神疾患.丸山仁司(編):神経障害系理学療法学,pp173-190,医歯薬出版,東京,2005
掲載誌情報