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脳卒中片麻痺患者における市販体重計を用いた下肢荷重力評価の検討
著者: 村田伸1 大田尾浩2 有馬幸史2 溝上昭宏2
所属機関: 1第一福祉大学 人間社会福祉学部 2河畔病院 リハビリテーション科
ページ範囲:P.1101 - P.1105
文献購入ページに移動脳卒中片麻痺患者(以下,片麻痺患者)の下肢機能評価には,従来からBrunnstromステージ(以下,Br.ステージ)や上田の12グレード片麻痺機能テスト(以下,12グレード)が用いられてきた1).しかし,理学療法アプローチなどによって,基本動作能力や歩行能力の改善が認められても,Br.ステージや12グレードが改善されない場合が少なくない.また,その評価法自体,検者の経験に左右されたり,検者の主観的な判断に委ねられる場合も考えられる.動作能力の改善を機能レベルに反映させるためには,機能評価を定量的に行うことが求められる2).
近年,片麻痺患者の下肢機能を定量的に評価し,歩行能力との関連や歩行の予後予測に用いた研究2~7)が散見されるようになった.しかし,その測定には等速性筋力測定機器や重心動揺計など,高価な測定機器を使用しているため,測定できる臨床現場は限られている.
そこで筆者らは広く臨床応用が可能で,リハビリテーション専門職のみならず,介護スタッフでも簡単に下肢機能を評価できる方法(簡易下肢機能評価法)の開発を目的に研究を進めた.本研究はその1つの取り組みとして,片麻痺患者を対象に,座位姿勢において下肢で地面を最大限に押す力を下肢荷重力として,市販体重計を用いて定量的に評価し,その測定値の信頼性と妥当性について検討した.
今回,信頼性はテスト―再テスト法による再現性から評価した.信頼性の検討には,精度,再現性,整合性を確認する方法8)が用いられるが,下肢荷重力測定値の安定性と状態依存性を主に検討することが重要であったため,テスト―再テスト法を採用した.また,測定値の妥当性は構成性,基準関連性(併存性),予測性を確認する方法8)が用いられるが,今回は併存的妥当性から評価した.すなわち,片麻痺患者の下肢機能を評価する指標として汎用されているBr.ステージ,歩行速度,Activities of Daily Living(ADL)との関連性から検討した.
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