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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻2号

2005年02月発行

文献概要

入門講座 重症患者の理学療法リスク管理・2

脳損傷急性期の理学療法リスク管理

著者: 澤田三津子1

所属機関: 1禎心会病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.169 - P.177

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脳損傷急性期の理学療法リスク管理

 脳神経外科で急性期リハビリテーションに取り組んで約20年が経過したが,この間理学療法自体のアプローチも大きく変化進歩してきており,当院でのベッドサイド理学療法展開も試行錯誤を重ねている.最近では人員的な問題の解決もあってICUで作業療法と理学療法を同時に展開できるようになり,早期離床を目的として理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師がチームを形成しそれぞれの役割を果たしている.臥床が長く続けば合併症の代表ともいえる廃用症候群が起こり,元に戻らなくなることさえあると言われている.安静臥床は必要最低限の範囲にとどめて離床することが求められている.

ICUでのリハビリテーションの実際

 実際にICUでどんなことを行っているか紹介したい.言語聴覚士は入院直後に嚥下の評価を行い,必要に応じて嚥下造影を実施し経口摂取へのアプローチを看護師と一緒に進めていく.同時に理学療法士も筋緊張亢進抑制等のためのポジショニングを行い,頭頸部の過緊張をコントロールしながら姿勢保持への治療をする.ベッドアップの状況を確認しながらベッド上での胡座や長座位,端座位が可能になったら車いすに乗せてみて,食事が車いす乗車または端座位で可能になるかどうかアプローチを行う.作業療法士は看護師と一緒に洗面や整容,更衣動作に早期から関わりながら,ポータブルトイレを使用して排泄したり(トイレでの排泄も試みてみる),日中ベッドアップまたは座って過ごせるよう,日常生活行為を積極的に展開していく.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師が連携を取りながら進めて行くことが重要である.このようにチームでのアプローチを行うことにより,理学療法として一日1回端座位を20分とるだけではなく,一日3回起きて食事摂取することにつながり,その他の行為と合わせて離床が促進されることになる.患者の一日24時間の生活を想定して離床を実践していくべきである.

参考文献

1)藤原秀俊:脳損傷理学療法1,p21,三輪書店,1998
2)小柏元秀:頭蓋内圧亢進・脳ヘルニア・脳浮腫.竹内一夫(編):標準脳神経外科学,第4版,p115,医学書院,1989
3)土肥 豊:リハビリテーション医の為の循環器入門(1).総合リハ7:53-58,1979
4)林田来介,戸倉直美,二木 立:急性期脳卒中患者に対する座位体制訓練の開始時期.総合リハ17:127-129,1989
5)太田富雄:脳神経外科学,p185,金芳堂,1989
6)小柏元秀:頭蓋内圧亢進・脳ヘルニア・脳浮腫.竹内一夫(編):標準脳神経外科学,第4版,p128,医学書院,1989
7)矢田賢三:手術.竹内一夫(編):標準脳神経外科学,第4版,p326,医学書院,1989
8)石島武一:改訂版全科術前・術後マニュアル(エキスパートナースMOOK 8),p114,照林社,1998
9)藤原秀俊:脳損傷理学療法1,pp22-30,三輪書店,1998
10)川口健司,他:内頸動脈狭窄症に対するステント留置術.CLINICAL NEUROSCIENCE 18:352-353,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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