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文献概要
特集 脳科学からみた理学療法の可能性と限界
成人の脳の可塑性と限界
著者: 川島隆太1
所属機関: 1東北大学未来科学技術共同研究センター
ページ範囲:P.209 - P.213
文献購入ページに移動脳の可塑性とは,臨床においては,特定の脳活動を繰り返すことにより(多くはリハビリテーションとして行われる)脳の機能を回復することを意味し,細胞レベルではシナプスや神経線維が発達することによって,機能代償を可能とするネットワークが形成されることを示す.広義では,学習の脳内メカニズムに非常に近い概念を示すこともあり,乳幼児が環境などによって,様々な能力を獲得していく脳内現象を可塑性と呼ぶこともあるが,本稿では臨床的な意味で可塑性という言葉を用いることにする.
外傷や疾病による脳損傷からの脳機能回復(可塑性)は,発達期にある乳幼児に強く発現し,成人になるとその発現は弱いことが一般的に知られている.同じリハビリテーションを行っていても,可塑性の発現の度合いは個人により異なるが,この差がいったいどのような脳内機構に起因するのかは,いまだに科学的に明らかになってはいない.
外傷や疾病による脳損傷からの脳機能回復(可塑性)は,発達期にある乳幼児に強く発現し,成人になるとその発現は弱いことが一般的に知られている.同じリハビリテーションを行っていても,可塑性の発現の度合いは個人により異なるが,この差がいったいどのような脳内機構に起因するのかは,いまだに科学的に明らかになってはいない.
参考文献
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