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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻4号

2005年04月発行

文献概要

特集 脳性麻痺

脳性麻痺のスポーツ―科学的トレーニングの可能性について

著者: 石塚和重1

所属機関: 1聖隷クリストファー大学

ページ範囲:P.335 - P.343

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脳性麻痺の科学的トレーニングは本当に可能なのか? それとも全く不可能なのか? 脳性麻痺のトレーニングに携わってきたものは誰しも興味を持つことと思われる.筆者は15年間,肢体不自由児施設に勤務し,理学療法の中にスポーツを積極的に取り入れ,全国肢体不自由児療育研究大会に「脳性麻痺のスポーツ療法」1~8)として紹介してきた.演題発表をすると必ず質問があった.それは「トレーニング効果についてはどうなのか?」「運動強度はどの程度か?」「スポーツをすると連合反応が生じ,身体に悪影響はないのか?」など様々であった.従来,脳性麻痺者のスポーツは,過激な運動によって異常筋緊張や伸張反射を誘発し,拘縮・変形を助長するのでよくないといわれてきた.また,将来のパラリンピック選手育成を目指してトレーニング指導もしてきたが,経験の域から脱しきれていない状況であった.なんとか脳性麻痺者に対しての科学的トレーニングはできないものだろうか.

 障害者スポーツに関する研究において,田島ら9)は運動生理学の立場から障害者スポーツの運動生理学的意義について次のように述べている.「障害者スポーツは,ごく短期間で市民スポーツ的なものと競技性を重視したものへと発展進歩している.しかし,障害者スポーツの現場では,数少ない資料と経験論から競技力の向上が試みられているのが現状である.障害を持つ者の安全を確保し,市民スポーツとして障害者の健康の維持・増進に役立ち,競技力の向上に寄与するために運動生理を理解することは必要不可欠である.また,障害者は日常生活動作だけで運動能力を維持することはなかなか困難であり,障害者の運動能力維持のためには,日常的に積極的な運動が必要である.障害者における運動の重要性は健常者以上であることは論をまたない.一方,障害者は生理機能の障害も併せもち,身体に負担をかける運動を行うことは危険だという考えがあった.確かに,多くの障害者はなんらかの形で生理機能にも障害を持っていることが多い.」

参考文献

1)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第1報)―痙直型歩行可能群の体力・運動能力について.療育27:59-60,1985
2)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第2報)―スポーツ療法の実際とスポーツに対する意識について.療育30:124-125,1988
3)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第3報)―Aerobic Danceの紹介.療育32:59-60,1990
4)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第4報)―可能性を求めて.療育34:99-100,1992
5)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第5報)―たくましく生きる像を求めて.療育35:66-67,1993
6)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第6報)―脳性麻痺とAerobic Dance.療育36:89-90,1994
7)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第7報)―Cooping Skill and Outing.療育38:85-86,1996
8)石塚和重,他:脳性麻痺のスポーツ療法(第9報)―陸上競技におけるクラス分け.療育40:64-65,1998
9)田島文博,他:障害者の運動生理学の意義.スポーツサイエンス15:107-110,1996
10)矢部京之助,他:水泳運動における脳性麻痺児の心拍数変動.リハ医学19:225-230,1982
11)石塚和重,他:脳性麻痺とエアロビックダンス.医療体育12:37-43,1993
12)Lundberg A:Maximal aerobic capacity of young people with spastic cerebral palsy. Dev Med Neurol 20:205-210, 1978
13)Tobimatsu Y, et al:Cardiorespiratory enduarance in people with cerebral palsy. Arch Phys Med Rehabil 79:687-691, 1998
14)Rose J, et al:A Comparison of oxygen pulse and respiratory exchange ratio with cerebral palsied and nondisabled children. Arch Phys Med Rehabil 74:702-705, 1993
15)飛松好子:障害と体力―脳性麻痺者.総合リハ31:735-738,2003
16)Analon M, et al:Reliability of isokinetic strength measurements of the knee in children with cerebral palsy. Dev Med Child Neurol 42:398-402, 2000
17)Berg-Emons RJ, et al:Reliability of tests to determine peak aerobic power and isokinetic muscle strength in children with spastic cerebral palsy. Dev Med Child Neurol 38:1117-1125, 1996
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19)Damiano DL, et al:Effect of quadriceps femoris muscle strengthening on crouch gait in children with spastic diplegia. Phys Ther 75:658-667, 1995
20)MacPhail HE, et al:Effect of isokinetic strength training on functional ability and walking efficiency in adolescents with cerebral palsy. Dev Med Child Neurol 37:763-775, 1995
21)Flower EG, et al:The effect of quadriceps femoris muscle strengthening exercises on spasticity in children with cerebral palsy. Phys Ther 81:1215-1223, 2001
22)石塚和重:脳性麻痺のスポーツ.静岡県身体障害者福祉会(編):身体障害者とスポーツ,pp65-83,1992
23)星川佳広,他:ジュビロ磐田における形態・体力測定Ⅰ.サッカー医・科学研究20:78-79,2000
24)矢部京之助:障害者の運動機能と体力特性,pp89-109,市村出版,2003
25)赤滝久美,他:Muscular soundを用いた脳性麻痺患者の筋機能の分析.医用電子と生体工学30:200-207,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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