icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻5号

2005年05月発行

文献概要

特集 回復期リハビリテーション病棟における理学療法

回復期リハビリテーション病棟におけるADLへの取り組み

著者: 辛嶋美佳1 佐藤浩二1 衛藤宏1

所属機関: 1湯布院厚生年金病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.399 - P.406

文献購入ページに移動
2000年4月の診療報酬改定により回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟が新設された.また2001年には,従来の国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)に変更され,翌年2002年の診療報酬改定では,「リハ医療は,基本的動作能力の回復を目的とする理学療法や,応用的動作能力,社会的適応能力の回復を目的とした作業療法,言語能力の回復を目的とした言語療法等の治療法より構成される.」1)に,「いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるものである.」2)と新たな一文が加わった.

 回復期リハ病棟の目的は周知の通り,ADL能力の向上による廃用予防と家庭復帰促進である.この目的達成のためには,退院後の「するADL(活動)」を見据えてチームでリハ計画を立て,集中的にADL能力の向上に向け,実際の生活の場である病棟にて理学療法士(以下,PT)や作業療法士(以下,OT)が活動向上訓練を行い「できるADL」を伸ばし,看護師等が「しているADL」として定着させるという協業体制が求められている.このようなリハサービスは,従来の基底還元論的治療訓練3~6)偏重の思考を改め,目標指向的アプローチ3,6~11)を推進し,できる限り短期間で在宅生活へつなぐための効果的な手法であるとともに,これがICFで示される「活動」や「参加」を重視した自立支援のあり方に他ならない.さらには,診療報酬改定で示された「実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるもの」を意味すると考える.この一連の流れから,われわれPTはリハ医療におけるこれまでの取り組みを振り返り,今後のあるべき姿を創造していかなければならない重要な時期にあると認識する.本稿では,このような認識に立って当院回復期リハ病棟におけるPTの具体的な取り組みについて紹介する.

参考文献

1)医科点数表の解釈,p498,社会保険研究所,1998
2)医科点数表の解釈,p330,社会保険研究所,2004
3)大川弥生:目標指向的介護の理論と実際,pp55-56,231-232,16-19,中央法規出版,2000
4)上田 敏:ICFの基本的な考え方―生活機能の重視と階層論的理解を中心に―.PTジャーナル36:271-276,2002
5)大川弥生:理学療法プログラムに生かすICF(2)―リハビリテーション・プロセスへの患者・家族の主体的関与・決定―.PTジャーナル36:696-703,2002
6)大川弥生:介護保険サービスとリハビリテーション,pp55-76,77-95,中央法規出版,2004
7)大川弥生:理学療法プログラムに生かすICF(1)―目標指向的アプローチ―.PTジャーナル36:609-615,2002
8)上田 敏:「社会生活行為(ASL)」の位置づけと評価・訓練の原則.OTジャーナル33:1039-1044,1999
9)大川弥生:回復期リハビリテーション病棟のあり方.PTジャーナル35:167-178,2001
10)大川弥生,渡辺直美:脳卒中急性期における作業療法士の役割―QOL向上にむけたリハビリテーションのスタートとしての位置づけの明確化のために―.OTジャーナル29:928-935,1995
11)大川弥生,上田 敏:外来リハビリテーションの現状と問題点.総合リハ20:1229-1233,1992
12)衛藤 宏:当院における取り組みと提言Ⅱ.臨床リハ12:211-217,2003
13)佐藤浩二:毎日の情報交換こそカンファレンスの原点.老年看護8:71-76,2001
14)茨木美穂,他:リハビリテーションの視点に立った退院援助計画「経過的ケアプラン」の実践.月刊総合ケア14(8):50-55,2004
15)佐藤浩二:セラピスト間の徹底協議で単位配分パスを作成.全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会機関誌2:15-17,2003
16)辛嶋美佳,他:当院における回復期リハビリテーション病棟での係わり.第39回日本理学療法学術大会演題抄録集,p354,2004
17)渡邊亜紀,他:当院における早期実用歩行獲得に向けた取り組みの成果と今後の課題.第39回日本理学療法学術大会演題抄録集,p260,2004
18)大西咲子,他:実用的なADL獲得に向けたセミ長下肢装具の活用,第25回九州理学療法士・作業療法士合同学会抄録集,p186,2003
19)上田直樹,他:当院におけるセミ長下肢装具活用の成果.リハビリテーション・ケア合同研究大会抄録集2004,p142,2004
20)尾方英二,他:回復期リハビリテーション病棟における転倒事故分析と事故防止に向けた取り組み.第39回日本社会保険医学会総会学術講演集,p203,2001
21)篠原美穂,他:当院の回復期リハ病棟における車椅子偏重からの脱却に向けた取り組みと成果.第39回日本作業療法学会抄録集(予定).
22)黒瀬一郎,他:当院における自己訓練指導の紹介.第38回日本理学療法学術大会演題抄録集,p196,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?