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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻5号

2005年05月発行

文献概要

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編集後記

著者: 吉尾雅春

所属機関:

ページ範囲:P.470 - P.470

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 あっという間に5月.2005年の半ばに差しかかってきました.皆さんは後ろを振り返ってみたら,今年前半の足跡はちゃんと残せていますか? 1年間に2つか3つくらいは何か形に残したいものですが,なぜか時の流れが速くて,後悔の神様が私をせせら笑いながら前髪を風になびかせています.しかも後悔の神様が年々お増えになられ,神様がお座りになる席がこの時期に既に満席状態になっています.どうしたものでしょうか? 神様にご遠慮いただくか,それともいっそのこと“予約席”を増やすか….やはり,少し頑張ってみるしかなさそうです.

 2000年春に多くの期待を担って船出した回復期リハビリテーション病棟は600病棟を超え,30,000床に手が届くところまでになりました.回復期リハビリテーション病棟はリハビリテーション医療,いや医療そのものの申し子と言っても過言ではありません.故にそのあり方には常に注目しておきたいと思います.特集で改めて回復期リハビリテーション病棟の理学療法について考えてみました.石川氏が解説しているような質を追求すれば医療の申し子として胸を張ってよさそうですが,量的整備に質がどれだけ追いついているでしょうか.ソフト面,つまりそこに関わる理学療法士をはじめとするスタッフの知恵と行動力が重要なポイントになります.辛嶋氏たちは回復期リハビリテーション病棟が開設されて以来,思い切った行動変容を行っています.そのひとつとして装具作製にあたって,時期と種類の選択の変化があげられます.読者の中でも賛否両論あると思われますが,実際にその違いを確認している辛嶋氏たちのADLへの取り組みには注目してみる価値があります.一方,ADLへの取り組みが強調されるあまり,運動療法をどうすべきかわからないという声もよく耳にします.伊藤氏には特に認知過程に注目しながら脳卒中患者にどのように関わっていくか,具体例をあげながら解説していただきました.ある動作をただ繰り返すのではなく,細かい臨床観察と理学療法士ならではのアプローチが根幹にあることを忘れてはいけないということでしょう.須藤氏と中島氏には病棟スタッフとどのように協業するのか,特に作業療法士,看護師・介護スタッフに焦点を当てて日常の病棟活動を紹介していただきました.日本の医療界にあって近くて遠いような職種の存在.相互理解があってこそなし得る協業ですが,氏たちの真摯な取り組みから学ぶことがたくさんあります.看護科,理学療法科云々という従来の病院の組織図そのものから変えていく必要があるのかもしれません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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